※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2018年9月16日日曜日

あなたは可愛い孫[前編]

むかしむかしある村に、お爺さんとお婆さんと
男の子の孫と三人で暮らしている家がありました。

孫のお父さんとお母さんは、早くに亡くなって
しまいました。

そのため親のかわりにお爺さんとお婆さんが、
孫と一緒に暮らしていたのです。

孫は、とても賢く優しい子でした。

しば刈りに出かけるお爺さんに付いて行き、
カマを持って一緒に芝刈りをし、
畑に来ては、耕すお婆さんの横で、
クワを持って一緒になって耕しました。

料理をするのも得意で、料理と呼べるものを作るほど、
家には食材はありませんでしたが、質素ながらも、
とても美味しい食事を、働いている二人のために
作っていました。

三人は仲良く暮らしていましたが、
とても貧しい生活をおくっていました。

ある時、孫が言いました。

「僕が、お金持ちの家に行って働いてくる、そうすれば、
 お爺さんもお婆さんも楽に暮らせるようになるから」

その時代、お金に困った家の子どもは、遠く離れた
お金持ちの家に住み込みで働きに行っていました。

お爺さんとお婆さんがとめるのも聴かず、孫は、
近所の人の紹介で、お金持ちの家へ住み込みで働きに
行ってしまいました。

お爺さんとお婆さんは、孫がいなくなって寂しくて
仕方ありませんでした。

生活が楽になるより、孫と一緒に生活しているほうが、
ずっと楽しかったからです。

お爺さんとお婆さんは寂しい思いをしましたが、
自分たちのために孫が一生懸命働いていると思い、
寂しい思いを押し込めて、自分たちも精一杯働きました。

そして、孫が働きに出て一週間くらいたった
ある日のことです。

会話もなく二人で夕飯を食べようとしていた時、

「お爺ちゃん、お婆ちゃん、お休みもらって帰って来たよ」

と、孫が帰ってきました。

お爺さんもお婆さんも予想していなかったので、
目が飛び出るくらい驚きました。

でも、孫の顔を見ると、目はあっという間に細くなって、
にこにこ笑顔で、孫を向かい入れました。

「よく帰って来たなぁ」

その晩は久しぶりに夕飯を三人で食べました。

とても質素なご飯でしたが、とても楽しいひと時でした。

「どうだい、仕事は順調かい」

お爺さんが訪ねると、

「あ、うん、とてもお金持ちの家で働いているよ」

「そうか、そうか」

お爺さんは笑顔で何度もうなずきました。

「身体はきつくないかい」

お婆さんが訪ねると、

「う、うん、大丈夫、とてもだいじにしてくれるよ」

「そうかい、それはよかったねぇ」

それから三人はたわいもない話をしました。

この家で、こんなに楽しそうな声がするのは、
久しぶりのことでした。

「ところで、お暇はいつまでなんだい」

お爺さんが聞くと、

「えーと、明日の朝には帰らないといけない」

「えーっ、そうかい、忙しいなぁ」

と、お爺さんは驚き、

「まぁ、そんなにお暇もいただける訳がないから、
 仕方がありませんねぇ」

お婆さんは悲しい顔をしました。

「ま、まぁ、またお休みをもらえたら、
 すぐに帰って来るから、そんな顔しないで」

と、孫が言うと、お婆さんはうっすらと笑みを
浮かべました。

三人はその晩、川の字に並んで寝ました。

そして、朝早く、孫はお金持ちの家に帰っていきました。

孫がいなくなり、お爺さんとお婆さんは、
また寂しい気分になりました。

「次は、いつ帰って来るのかのぉ」

「いつでしょうねぇ」

二人はそう声をかけたあと、それぞれの仕事を
淡々とこなしました。

こうして、次に孫に会えるのはだいぶ先だと思っていた
二人の前に、孫が現れました。

「お爺ちゃん! お婆ちゃん! 帰ったよ」

「おや」

「まぁ」

それは、孫がお金持ちの家に帰った次の日の夕方でした。

「また、お休みもらえたから、すぐに帰って来ただよ」

お爺さんとお婆さんは、少し不思議に思いましたが、
喜んで孫と三人で、楽しい夕飯を食べ、川の字になって
眠りました。

次の日の朝、孫はお金持ちの家に帰りました。

「次は、いつ帰って来るのかのぉ」

と、お爺さんが言うと、

「明日かも、しれませんねぇ」

と、お婆さんが言うので、二人は顔を見合わせて、
まさかね、と笑いました。

しかし、そのまさかが起きました。

次の日のお昼過ぎに、また孫が帰って来たからです。



[後編]へつづく……


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