≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪
「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2018年3月7日水曜日

カエルの家探し

ある沼に2匹のカエルが住んでいました。

春のころにこの沼に移り住んで来たのですが、
夏になって日差しが強い日が続くと、段々水が少なくなってきて、
とうとう沼の水はカラッカラに枯れてしまいました。

「どうしようねぇ」

カエルたちは話し合いました。

「このままでは私たちも干からびてしまうから、
 どこか他に住むところを探しましょうか」

「そうだね、早速、探しに行こう!」

2匹は旅支度をして新しい住みかを探しに出かけました。

“ぴょ~んぴょん”

と、軽快な足取りで旅を始めた2匹でしたが、
外は暑い日差しです。

「暑い~ねぇ」

「ハイ、地面も熱くて足がヒリヒリしてきました」

夏の暑さは徐々に2匹の体力を奪っていきました。

「疲れたねぇ」

「疲れました~」

2匹とも、体力がないわけではありませんでしたが、
暑さで足はフラフラ、目はグラグラしてきました。

「あ、アレは」

1匹のカエルが前を向いて言ったので、
もう1匹も目線を前に向けました。

「アレは、人間が作った井戸ではないでしょうか?」

「そうだね、アレ、井戸だよね」

「井戸なら、水がありますね!」

2匹は疲れが少し吹っ飛び、ぴょんぴょん、と足取り軽く
井戸に向かって跳ねていきました。

井戸に着いて縁から中をのぞくと、

「水だー!!」

下の方に水があるのが見えました。

「よーし、飛び込もう!」

と、1匹が言うので、

「待って、」

と、もう1匹が止めようとしましたが、
それよりも早く、1匹は井戸の中に飛び込んでしまいました。

“バシャーン!”

と、水しぶきを上げて飛び込んだカエルが、

「気持ちい! 君も早く飛び込みなよ!」

井戸の縁で眺めていたもう1匹のカエルは、
飛びこんだカエルがあまりにも気持ちよさそうだったので、
頭ではダメ、と思っていましたが、体がかってに反応してしまい、

“バシャーン!”

と、思わず飛び込んでしまいました。

「気持ち―ぃ!!!」

井戸の水は冷たくて最高な気分でした。

気持よく水の感覚を味わっていると、
最初に飛び込んだカエルが言いました。

「ねぇ、ここに住んじゃおっか!」

ニコニコ笑顔で言うカエルに、後から飛び込んだカエルは、
「えっ」と困った声を出してから言いました。

「確かに水があって気持ちいいですが、水から上がりたいときは
 どうします? 座ってられるところありませんよ」

「えーとー」

最初に飛び込んだカエルは少し考えてから、

「そうだ!」

と、井戸のカベに向かってジャンプして張りつきました。

「こうやって休めばいい」

後から飛び込んだカエルはなにも言わずに、
カベに張り付いているカエルを見つめました。

カベに張り付いたカエルは、始めのうちは
しっかりとカベに張り付いていましたが、
すぐに疲れて来たのか、ズルズルと落ちて来て、
たえきれなくなって、ポチャン、と、さみしく水に落ちました。

「私たちはずっと水の中にいる訳にはいきませんから、
 ここで生活するのは無理ですね」

後から飛び込んだカエルがそう言うと、カベから落ちたカエルは、
てへへへ、と、照れ笑いをしました。

後から飛び込んだカエルが、

「それよりも、ここから出るのが大変そうです」

そう言って上を向いたので、
カベから落ちたカエルも見上げました。

カベに張り付いているだけでも結構大変なのに、
上まで登るのは、相当、疲れそうだと思いました。

「飛びこむ前に、ちょっと考えれば良かったですね」

と、後から飛び込んだカエルが言うので、

「とりあえず、もうちょっと体力が回復してから、
 のんびりと、登ろう」

カベから落ちて先に飛びこんだカエルが言いました。

それから2匹のカエルはしばらく水の中で休んでから、
井戸のカベを登り始めました。

時間をかけてやっと井戸の縁まで来たときは、
2匹とも疲れ果てて、井戸に飛びこむ前よりも
ヘトヘトになっていました。

「とりあえず、今日のところはもとの沼に帰ろうか」

「そうですね、あそこなら水はありませんが、
 眠るところはありますからね」

2匹は足取り重く、ぴょよ~ん、ぴょよ~ん、
と沼へ帰っていきました。

帰り道は、夕方だったので昼間のような日差しではありませんでしたが、
それでも、暑くてたまりませんでした。

やがて、足取り重く跳ねていたカエルの頭に、

“ポタッ”

と、何かがあたりました。

“ポタッ、ポタッ、ポタッ”

雨のようです。

「ふ~ぅ、これで少しは暑さが和らぐね」

「そうですね、助かります」

2匹は雨に打たれて、少しだけ元気が湧いてきて、
ぴょん、ぴょん、と軽い足取りで沼に帰っていきました。

しばらくして沼にたどり着くと、2匹はびっくりしました。

「あ、沼に水がある!」

2匹は笑顔でお互いの顔を見ながら、

「良かったね」

「ハイ、またここで暮らせますね!」

と、大喜びで沼の水に飛びこみました。

そして2匹のカエルは沼の水から顔を上げて、

「ここが一番だね~」

「そうですねぇ、ここが一番です」

と、言いながら、しばらく沼の水に身を任せ、
ぷかぷかと、の~んびり浮かんでいましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 水の枯れた沼のカエル 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/04/09.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


先が見えないときって、不安ですよね。
住んでいた沼の水がなくなって、
カエルたちはとても不安だったと思います。

カエルたちは新しい住みかを探す旅に出かけますが、
うまくいかず、結局、もとの沼に帰ってきました。

先が見えないとき、不安になることは良くあります。
状況を変えようと何か行動を起こしたくなりますが、
うまくいかないことが多いような気がします。

あたりまえですが、行動はよく考えてから起こす方が
失敗は少なくて済みます。

不安にかられて良く考えずに行動してしまうと、
うまくいかないのは当たり前なのかもしれません。

今回のお話のように、もといた所に戻ることができれば、
行動を起こしやすいですが、転職など、もとに戻ることが
できにくい状況では、よく考えてから行動したいものです。

とは言え、先が見えないときは不安で、
なにか行動を起こしたくなってしまうものです。

そんな衝動に駆られたときは、ちょっと落ち着いて、
先ではなく、周りを見渡してみてはいかがでしょう?

先は見えなくても、周りなら見渡せるはずです。

周りを見渡すと、良いことがあるかもしれません。
良いものを持っていることに気づくかもしれません。
先がちゃんと見えることが見つかるかもしれません。

不安だからと、闇雲に行動する前に、周りを見つめて、
先が見えそうなものを見つけてから、
ゆっくりと動き出すと、案外うまくいくかもしれませんね。


今日のHappy♪ポイント

『 見えない先より、見えるところを、よ~く見みる 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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