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「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2018年3月29日木曜日

キツネの価値観

ある日のことです。

「ここが噂のお金持ちの家かぁ」

キツネは貴族が住んでいる屋敷に忍び込みました。

「この家に住んでいる人間は、ものすごいお金持ちだから、
 きっとおいしいものがいっぱいあるぞ」

キツネは昨日、一日中エサを探して歩るき回りましたが、
大したエサを見つけることができず、
お腹がペコペコなってしまい、仕方なく人間の家に
忍び込むことなったのでした。

友だちが「どうせ忍び込むならお金持ちの家が良いよ」と
言っていたことを思い出し、この辺りで一番のお金持ちの
屋敷にやって来ました。

「さて、どんなおいしいものが食べられるかな」

キツネは屋敷の廊下にいました。

人間の家の中に忍び込むのは初めてでした。

家の中は、なんだか良く分からない物が多く、
戸惑いながらも、足を進めました。

廊下の壁には、扉がいくつも並んでいます。

とりあえず、一番近くの扉を、そろ~りと開けてみました。

「失礼しま~す」

扉の中に入ると、なんだか良く分からない
景色が広がっています。

“クンクンクン”

と、匂いをかいでみましたが、
おいしそうな匂いはまったくしませんでした。

変わりに、甘ったるい不思議な匂いが鼻につきました。

匂いがある方へ進むと、キツネはビックリしました。

目の前に、キツネがいたのです。

「やぁ~、キミも忍び込んだのかい?」

と、キツネが手を上げて聞くと、
目の前のキツネも同じように手を上げて聞いてきました。

「あ、これ、前に見たことある、自分の姿を写すやつだ」

どうやらキツネは鏡を知っていたようです。

キツネは鏡の前で、右手を上げたり、左手を上げたり、
踊ってみました。

「ヨッ、ホッ、ハッ」

すると、鏡の中のキツネも踊っているので、
キツネは楽しくなってもっと踊りました。

しばらく踊っていると、
鏡の前に置いてあるものに気付きました。

「なんだろー、コレ」

キツネはつまみ上げてみると、
キラキラした金色の輪っかのようなものでした。

まん中には透明の石が付いていて、
輪っかよりも、さらにまばゆい光を放っていました。

「キレイだ」

と、キツネはまじまじと眺めましたが、
“グ~ゥ”とお腹がなってしまい、

「キレイだけど食べられないなぁ」

と、金色の輪っかを元の場所に置きました。

キツネはキョロキョロと周りを見渡しましたが、
食べられそうなものはなかったので、とりあえず、
扉から廊下に出ました。

そして、ちょっと歩いて、隣の扉に入りました。

そこは広い部屋でした。

目の前に、木でできた机がドーンと置かれ、
その上には紙やペンなどがありました。

キツネはそれにはまったく興味を示さず、
“クンクン”と鼻を鳴らしながら歩きました。

しかし、食べ物の匂いは感じられませんでした。

「ん?」

キツネは不思議なものを見て首をひねりました。

壁のまん中くらいに、キツネの体くらいしか入れそうにない
小さな扉があったのです。

扉の前には、キツネが飛び乗れるくらいの台が置いてあります。

キツネに飛び乗ってください、と言わんばかりだったので、
ヒョイっとジャンプして飛び乗りました。

扉には丸い摘みみたいなものと、取っ手のようなものがありました。

キツネは適当に、取っ手の上の方を引っ張ると、
半円を描くように下に向き、同時に扉が静かに開きました。

静かに開く扉は大きさの割にやけに分厚いので、
変な扉だな、とキツネは思いながら中を覗きました。

中には紙の束が積んであり、それが何列か並んでいます。
その横には、何かが入っていそうな布の袋が
無造作に何個か置いてありました。

キツネは試しに布の上から“クンクン”と匂いをかぎましたが、
まったく食べ物の匂いがしませんでした。

「はぁ~、また空振りか~」

と、キツネは溜息を付いて、やたらと分厚い扉を閉めて、
棚から飛び降りました。

キツネは廊下に出ると「もう、帰ろうかなぁ~」と
呟きました。

「ん!」

その時、キツネの鼻に、
おいしそうな匂いが飛びこんできました。

「これは!」

キツネは匂いのする方へ走りました。

廊下を曲がったところに、それはありました。

窓際に、くすんだ銀色のお皿が見えました。

銀色の皿は床にそのまま置いてあります。

近づいて覗きこむと、中には、茶色やオレンジや緑色の
コロコロしたものが入っていました。

“スゥーーーーーーッ”

キツネは息を思いっきり吸いました。

「コレはおいしそうだ!」

キツネはコロコロしたものにかぶりつきました。

“ポリ、カリ、ポリ”

コロコロしたものはそんな音がする食感でした。

キツネはこんなおいしいものを食べたことがありませんでした。

“カリポリカリポリ”

一日、空腹だったからよけいです。
むしゃぶりつくように一心不乱に食べました。

“カリカリポリポリ”

キツネはあっという間にコロコロしたものを平らげ、
物足りないと言わんばかりに、銀色のお皿を
ペロペロとなめ回しました。

ひとしきりお皿をなめたあとで、

「ふ~、おいしかった~ぁ」

と、息をついた時です。

「ワンワンワンワン!!!!!」

という声が、廊下の向うの方から聞えてきました。

「ヤバイ! 犬だ!」

キツネは声がする方をまったく見ずに、
声とは逆の方向に一目散に走り出しました。

「ワンワンワンワン!!!!!」

犬は追いかけてきているようです。

キツネが廊下を走っていると、開いている窓が見えました。

キツネは、ヒョイ、っと飛んで窓枠に立って見ると、
その先は屋敷の庭でした。

キツネはすぐに庭に飛び降りると、一目散に壁まで走り、
よじ登って屋敷の外に降りたちました。

ふり返ると、壁の向うで犬が立っちどまって
吠えているのが見えました。

どうやら壁の外までは追いかけて来ないようです。

キツネは、よかった、と息を吐きました。

そして、

「それにしても」

と、思い出したように笑顔になって、

「おいしかったなぁ、さすがはお金持ちの家だ!」

と、言いながら、満腹のお腹を意識しながら、
満足げに帰っていきましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 キツネとお面 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/05/06.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


今回のお話は物の価値がテーマです。

人間だったなら、ドックフードよりも、ダイヤのついた指輪や
現金の方が価値があるということが分かります。

ダイヤの指輪を売ったり、現金を持って高級料理店へ行けば、
ドックフードよりおいしいものが食べられます。

このように、人間の世界ではその物の価値を知っているかどうかで、
得をしたり損をしたりします。

しかし、価値を見定めるって難しいですよね。

芸能人が高級なものを当てるというテレビ番組もありますが、
普段から高級なものを手にしている芸能人でも、
本当の価値を見抜くことは難しいようです。

逆に、価値がある物はいいものだと思い込んでいると、
価値がある物だと信じ込まされ、高い金額を
だまし取られてしまうということもあります。

確かに、物の価値を知っていることは大切かも知れません。

でも、その前に、自分にとって本当に価値があるものなのか
どうかが重要な気がします。

私の好きなお肉は、鶏肉で、次いで豚、最後に牛です。
なので、モスバーガーが牛肉100%になったときはガッカリしました。

大半の日本人は牛肉100%のハンバーグが好きですから価値が
上がったのかもしれませんが、私の中でのモスバーガーの価値は
大幅に下がりました。

腹ペコのキツネにとっては、指輪よりもお腹がいっぱいになる
総合栄養食のドックフードの方が価値があります。

こんな感じで、自分にとって本当に価値があるのかを基準に考えると、
得も損も無いように思います。

例えば、偽物や騙されているとはまったく知らずに、
本当に価値がある物だと信じ込んでいるとしたら、
それはそれで幸せだと思うのです。

だから、本当は、本物の価値なんて知らなくても
いいのかも知れません。

「大切なのは、自分のしたいことを自分で知ってるってことだよ」

と、ムーミンというお話に出てくるスナフキンというキャラクターが
言っていますが、大切なのは、

「自分が何に価値を感じるかを自分で知っていること」

なのかも知れません。


今日のHappy♪ポイント

『 その物の価値は自分で決める 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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