≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪
「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2018年3月3日土曜日

ネコとオウムの合唱団

「ん、なんだか騒がしいなぁ」

お気に入りのソファーでお昼寝をしていたネコは、
なにやら聞きなれない声で目を覚ましました。

「ピヨピヨピ~♪ ヒュルルルルル♪」

目をこらして見ると、天井から
カゴがぶら下げられているのが見えました。

ネコが近寄って行くと、中には鳥がいました。

「ピィピッピ~♪ ヒュルルルルル♪」

ネコより一回りくらい小さな体の鳥は、
羽の部分が緑色で全身はオレンジ色をしていて、
キレイな声で鳴いていました。

「ヒュルル~♪ ヒュルルルルル♪」

この家にずっと住んでいるネコは、昼寝を邪魔されたことを
一言文句を言ってやろうと声をかけました。

「昼寝の邪魔して、あんたは誰だい?」

鳥は鳴くのやめてネコの方を見ました。

「あ、あなたはこの家のペットの先輩のネコさんですね。
 こんにちは」

先輩などと言われ、ちょっと照れくさいネコは、
なにも言わず不愛想に軽く頭を下げました。

鳥は話を続けます。

「私はオウムと言います。ここのご主人さまに飼われ
 本日からお世話になることになりました。
 どうぞよろしくお願いします」

オウムはそう言うと、深々と頭を下げました。

ネコは退屈そうな顔をしてから言いました。

「なんだ、あんた新入りかぁ」

「ハイ!」

と元気に挨拶するオウムにネコは、

「オウムとか言ったねぇ、さっきまで大きな声を出していたけど、
 あんたは大きな声で鳴くのが好きなのかい」

「ハイ! あっ、でも、あれは鳴いていた訳ではなく、
 歌っていたのです」

「歌?」

「ハイ! 私は歌うのが大好きなんです!」

と、答えるオウムにネコは悲しい表情を浮かべて言いました。

「それは残念だったなぁ」

「え?」

オウムがキョトンとした表情で聞き返すとネコは、

「ここのご主人は、大きな鳴き声が大嫌いでねぇ、
 さっきみたいに大声を上げて鳴いていると、
 きっと外に放りだされるよ」

オウムは「鳴き声ではなく歌です」と言ってから続けました。

「えっ、それは本当ですか? おかしいですね」

オウムは首をななめに傾けたので、
ネコもつられて首をななめに傾けました。

オウムは続けます、

「ご主人さまは私の歌声を
 たいへん気に入ってくださったんですよ」

「なんだって?」

ネコは静かに驚きました。

そして、

「それはおかしい、おいらが鳴くとご主人は
 “うるさい!”っていつも怒鳴るんで、
 おいらはなるべく鳴かないようにしてるんだ」

ネコは反対側に首を傾けました。

「う~ん」

オウムも首をななめにして考えてから、
「試しに~」と、おそるおそる訪ねるように、

「先輩、一度、外に放り出されたときのように、
 声を出してもらえませんか?」

「え、声か? 普通だよ」

と、ネコは言ってから、外に放り出されたとき声を上げました。

「ンギャギャギャギャ~!!」

その声に、オウムは思わず羽で耳をふさぎました。

ネコは何食わぬ顔でオウムを眺めました。

オウムは羽を耳から外して言いました。

「ネコ先輩。ご主人さまが外に放り出した理由が私には分かりました」

「え! ホント?」

「ハイ、きっと声の出し方に問題があると思うんです」

「声?」

ネコがキョトンとした顔をしていると、

「そうだ先輩、私、歌を教えますよ」

「歌?」

「ハイ、声の出し方さえ変えれば、
 きっと外に放り出されることは無くなりますよ」

「ホントに?」

「ハイ、だって先輩、声はステキですもん」

「おいらの声がステキ?」

「ハイ、とっても魅力的です」

「魅力的……」

ネコは、内心“ポッ”っと赤くなりました。

そして、

「おいらに、歌、できるかなぁ」

「ハイ、私が教えます! 上手くなったらご主人さまの前で
 披露しちゃいましょう!!」

と、オウムが言い、ネコがなんとなく同意すると、
次の日から歌の猛練習が始まりました。

「上手になって突然披露して驚いてもらおう」
とオウムが言ったので、練習はご主人がいない昼間に行われました。

朝、ご主人が出かけると、練習が始まります。

ネコは必死に頑張りました。

最初はオウムの歌声に、
まったく合わせることができませんでした。

オウムはまずは発声の練習から教えました。

それまで、ただ闇雲に声を出していたネコは、
声を出すときの強さを調整することを練習しました。

そして、キレイな声を出すには音色も重要だということも知り、
いろいろな音色を出す練習もしました。

最後に、歌を歌うには音程があることを学び、
繰り返し、繰り返し練習しました。

日が経つにつれて、徐々にネコは良い声を出せるようになり、
最初は難しかった、オウムの歌に合わせて声を出すことが
段々できるようになって行きました。

こうして練習を始めて、
あっとう言う間に1ヶ月が経ちました。

その日の練習が終わったあと、オウムはネコに言いました。

「もう完璧です!
 先輩、今日、ご主人さまが帰ってきたら、
 披露しちゃいましょう!」

「い、いよいよかー」

「先輩、緊張してますか? 大丈夫ですよ!
 たくさん頑張ってきたじゃないですか!
 カッコよくできますよ」

「そ、そうかなぁ」

「ハイ、大丈夫です! 自信もって!」

「う、うん、分かった」

ネコは頷きました。

そして、玄関の方から物音が聞こえました。

「あ、帰ってきましたよ」

と、オウムが言いました。

ネコは“フーゥ”と、息を吐きました。

部屋の扉は閉まっていて玄関は直接見えません。

ご主人は玄関で靴を脱いでいる様子です。

玄関から、この部屋までは少し廊下があり、
まだ、この部屋に来るまで時間があります。

ネコは息を吐き出してから、オウムの方に目をやりました。

そして、

「ありがとな」

と、言いました。

「せんぱーい!! 泣かせないで下さいよー」

オウムは涙目になりながら、
羽を持ち上げて「大丈夫!」の仕草をしました。

ご主人が廊下を歩いてくる音が聞えました。

ネコは、ご主人が入ってくる扉をジーッと見つめました。

心臓は、今まで体験したことがないほどバクバクしていて、
全身の毛の全てが逆立っているような感じがしました。

そして、ネコが見つめている扉が静かに開きました───。


───数日後。

「ピィピッピ~♪ ヒュルルルルル♪」

オウムは今日もご機嫌に歌っています。

ネコはソファーに丸くなって、ウツラウツラまどろみながら
オウムの歌を聞いていました。

ネコはあの日以来、あまり歌を歌っていませんでした。

歌を歌うのは特別な日と決めていたからです。

歌を初めて披露したあの日。

それは特別な日になりました。

ご主人は信じられないというような驚きの表情を見せ、
今までになかったくらいネコを撫でまわし喜びを爆発させました。

ネコはとても嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。

あんなに喜んでいるご主人を見たのは初めてだったし、
あんなに撫でまわされたのも初めてでした。

その日の夕飯が特別美味しかったのも覚えています。

それはネコにとって本当に特別な日、そして、
とても嬉しい日になりました。

だから決めたのです。

これからは歌うのは特別な日だけにしようと。

それをオウムに伝えると「先輩らしいですね」と
声をかけてくれました。

歌を歌うことで、ご主人との特別な日が増えることを、
ネコは楽しみにしながら、今日も何気ない日を過ごしました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 オウムとネコ 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/04/08.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


☆ちょこっとHappy♪☆

あなたは何か成し遂げたことはありますか?

私は何一つ長続きがしない人生を送って来たので、
何かを成し遂げる、という経験があまりありません。

なので、今回のネコのような気持に果たしてなるものなのか、
正直、良く分かりません(^^;;

「何かを成し遂げる」

と言うと、何か大事(おおごと)のような感じがしますが、
本当は、小さな成功の積み重ねなのだと思うのです。


「ペンギン・ハイウェイ」森見 登美彦 作


という小説の主人公の少年のもっとうは

“昨日の自分より偉くなる”

です。

昨日の自分と比べて「成長できている」と
感じられることを毎日毎日やっていく。

その積み重ねが、何かを成し遂げることに
繋がっているような気がします。

お昼寝でもしながら肩の力を抜いて、
昨日よりちょっとだけ成長していきましょう。


今日のHappy♪ポイント

『 昨日の自分より、今日の自分の方がスゴイですか? 」


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


0 件のコメント: