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「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2017年9月9日土曜日

借金取りがやって来た

むかし、むかしの話です。

ある長屋に、青年が住んでいました。

青年は気立てが良く、めったに怒らない性格で
人を疑うことも知りません。

それだけに、だまされて、自分が借りたわけでもない借金を、
かたがわりしてしまうことが多くありました。

そして今日も、借金取りがやって来ました。

「今日こそは、ちゃんとはらってもらうよ」

借金取りは青年に強い口調で言いました。

青年は、何度も言葉をはぐらかして、お金を返さずにいたので、
借金取りはとても怒っていました。

強い口調の借金取りに、ゆかに腰をおろした青年は、
ビクともせずに冷静に対応しました。

「もうちょっと待ってもらえますか、実は、近々、
 お金が手に入るあてが、三つもあるものですから」

「なに、お金が入るあてだと? しかも三つも?」

「はい!」

すずしい表情で返事をする青年を見て、借金取りはおどろきました。

いつもお金がない青年に、お金が入るあてがあるハズがない
と思ったからです。

しかも、三つなんてあるハズがない。

借金取りは、少し興味が湧きました。

「その三つの“あて”とやらを聞かせてもらいましょう」

借金取りは、半身でゆかに腰かけ、聞く体制になりました。

青年は背筋を伸ばしたまま、

「イイですよ、まず一つ目は」

と、人差し指をピンとのばして言いました。

「私が、どこかで大金をひろうかもしれません」

「なんだと!」

借金取りは声を上げました。

「バカ野郎、そんなのは“あて”とは言わん!
 まったくいい加減な奴だ。で、二つ目はなんだ!」

「はい、二つ目は、お金持ちが私に大金をわたしてくれるかも
 しれません」

「なっ、このご時世、そんなやつが都合よくいるわけないだろう、
 どこまでのーてんきなやろうだい、まったく」

借金とりはあきれた口調で、

「で、三つめはなんだ、またどうせ起こりそうもない、
 もうそうの話なんだろうがな」

「いいえ、三つめが、一番可能性が高いと思っているのです」

青年は、自信ありげにそう言いました。

「お、そりゃぁいいことじゃねぇか、その自信あるっていう、
 三つめを聞かせてもうらおうじゃないか」

「はい」

と言ってから青年は借金取りに顔を近づけて、

「それはですね」

「それは、」

「あなたが」

「オレが?」

「ポックリと死んでしまうかもしれません」

「─────。」

借金取りは、いっしゅん、だまってしましました。

「───オレが、死ぬ? ポックリと?」

「はい!」

笑顔で返事をする青年に、借金取りは勢いよく立ち上がり、
大声で言いました。

「まったく、なんてやろうだ! このオレが、ポックリと死ぬだと!
 聞いて損した。残念ながらオレはこのとおりピンピンしてりゃ!
 お前のあてはぜんぶ大外れだ、さぁ、すぐに借金かえしやがれ!」

ゆかに土足の足をかけ、感情が高ぶって、
今にも暴れそうな借金取りに「まぁ、まぁ」と
青年は落ち着いた口調でたしなめてから、言いました。

「そう怒らずに、冗談です、ほんの冗談」

と、青年は自分の後ろから、ふろしき包みを取り出しました。

「お金なら、このとおりあります。
 ちゃんと利子もつけています。確かめてください」

借金取りは、目を丸くしてキョトンとした表情でふろしき包みを
受け取り、あわてて開いてなかを確認しました。

そこには貸したお金よりも、かなり多くの現金がありました。

借金取りはキョトンとした表情のままで、

「こりゃあ一体、どうしたんだい」

とたずねました。

青年は、すずしい表情で言いました。

「はい、実は、だいぶ前、道を歩いている時に、お金を拾い、
 奉行所(ぶぎょうしょ)に届けていたのですが、
 持ち主が現れないと、おとつい返って来ました。
 それがそのお金の半分です」

青年はふろしき包みのお金を指さしました。

借金取りは、だまって青年の話を聞きました。

「それと、ちょうど昨晩、居酒屋でとなりに座った人と
 話をしていたら、たいそう私のことを気にいってくださって、
 好きなことでもしろ、と大金をくれたのです。
 それを合わせたのがそのお金です」

驚いた借金取りの口は、あんぐりをと開きっぱなしに
なってしまいました。

「そんなことって……、あるもんなんだなぁ……」

借金取りは、ひとり言のようにつぶやきました。

「はい、あったんです」

と、青年は穏やかな口調で言いました。

少し時が経ち、やっと我に返った借金取りは、
ふろしきを大事そうに包み直し、持っていた袋に入れました。

「確かに、金は返してもらった。もう、会うこともないだろうよ、
 じゃなぁ、達者でな」

と、借金取りは帰ろう背をむけました。

青年は借金取りの背中に向けて、大きな声で言いました。

「あなたも、くれぐれも気を付けて、
 なんたって“あて”の二つ当たりましたから!」

帰ろうとしていた借金取りは、ビックと、かたを上げました。

「あてが二つ、当たった?」

借金取りは、ふり返り、青年の顔を見ました。

「三つめは確か……」

青年は、さわやかな笑顔で借金取りを見つめました。

借金取りは青い顔になって、周りをキョロキョロしながら、
なにも言わず落ち着かない足取りで帰って行きました。

青年は長屋の外に出て、手をふりながら言いました。

「お気を付けて~」


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 三つのあて 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/12/10.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


人に、嫌なことされたり、誤解されたり、
人生辛いことも多いです。

でも、この物語の主人公のように、
ユーモアを持って生きていると、とても楽しそうな気がします。

笑いは、気持ちを軽くしてくれます。
リラックスもできますし気分転換にもなります。

お笑い番組などを見て笑い飛ばすのもありですが、
自分から、笑いを作った方が、より効果的かもしれません。

辛いとき、悲しいとき、そんなときこそ、

「この状況、どうやったら笑いに変えられるだろう」

と、無理やりにでも考えてみるとイイかもしれませんね。


今日のHappy♪ポイント

『 辛いことを、笑い話に変えてみる 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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