※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2018年1月6日土曜日

おにぎりコロリン

むかしむかしのお話です。

山のふもとに住んでいるおじいさんは、
山にのぼって芝刈りをしていました。

朝早くからまじめに芝刈りをしていると、

“グ~ゥ”

と、腹の虫が鳴きました。

「おやおや、もうお昼どきかのう」

おじいさんは芝を刈るのをやめて、家から持って来た
小袋を手に取ると、近くの切り株に腰かけて、
中から竹の皮でできた包みを取り出しました。

包みをひざの上に乗せて開くと、
中から、おにぎりが三つ出てきました。

「おばあさんのにぎる、おにぎりは、とってもおいしいからのう」

おばあさんが作ってくれたおにぎりを食べるのが、
おじいさんにとって、仕事中の一番の楽しみでした。

「いただきます」

おじいさんは手を合わせてから、両手でおにぎりを掴み、
頬ばろうとしました。

すると、ひざに乗っていた竹の皮からおにぎりが一つ
地面に落ちてしまいました。

「あんれまっ」

おにぎりはそのまま、山の斜面をコロコロと転がって行きます。

「待て!」

一日の楽しみのおにぎりを失うのはもったいない、
おじいさんは、手に持っているおにぎりを
素早く竹の皮で包みなおしてから、
転がっているおにぎりを追いかけました。

おにぎりは、コロコロコロコロ、転がっていきます。

「こら、待て~ぇ」

コロコロ、勢いよく転がっていくおにぎりは、
途中にあった石にぶつかり、ぴょーん、と、
飛び上りました。

そして、そのまま、ひゅん、っと、地面に落ちると、
コロコロと転がり、地面に開いていた穴に入ってしまいました。

「ありゃりゃ、おばあさんに作ってもらったおにぎりが~」

おじいさんは、慌てて穴を覗きこみました。

穴の中は暗くてなにも見えません。

おじいさんは、ガッカリと肩を落としうつむきました。

しゃがみ込んで、ため息交じりの息を吐いたおじいさん。

ふと、なにか歌声のようなものが聞こえたような気がして
顔を上げました。

「ん? 空耳かな?」

おじいさんは疑いながらも、耳を澄ませてみると、
やっぱり歌声が聞こえてきます。

「どこから、聞こえてくるのじゃ」

おじいさんはしばらく目を閉じて耳を澄ますと、
どうやら歌声は、穴の中から聞こえてくるようです。

「この穴から、歌声が?」

おじいさんは四つん這いになって、
穴に耳を近づけて目を閉じました。

すると、はっきりと歌声が聞こえてきました。

♪おにぎりコロリン すっとんとん
♪コロコロコロリン すっとんとん

ゆかいな音楽と可愛らしい歌声します。

おじいさんは楽しくなり、目を閉じたまま、
歌声に合わせて体を揺らしました。

♪おにぎりコロリン すっとんとん
♪コロコロコロリン すっとんとん

やがて歌声は聞こえなくなってしまいました。

おじいさんは満足そうな笑みを浮かべながら、

「この穴に、おにぎりを入れると、歌声が聞こえるのかのう」

とひとり言を言いました。

おにぎりはまだ二個残っています。

おじいさんは試しに一個、おにぎりを穴に入れてみました。

すると、また、歌声が聞こえてきます。

♪おにぎりコロリン すっとんとん
♪また来たおにぎり すっとんとん

おじいさんはシワクチャな笑顔になりながら、
体を揺らしました。

そして、竹の皮で包んだ、
もう一個のおにぎりを手にとると、

「最後のは、わしが食べよう」

歌を聞きながら、おばあさんの作ってくれた
おにぎりをおいしそうに食べました。

やがて仕事を終えて家に帰ったおじいさんは、
山であったことをおばあさんに話しました。

話を聞いたおばあさんは、

「それは楽しそうじゃのぉ~
 明日は、おにぎりをたくさん持っていくといいねぇ」

と、言ったので、おじいさんは笑顔でうなずきました。

そして、次の日、

おじいさんは朝から山で芝刈りをしていると、

“グ~ゥ”

お腹の虫が鳴きました。

「そっか、もうそんな時間か」

おじいさんは、芝刈りの手を止めると、
家に続く道の方を見ました。

ちょうどおばあさんが小袋を持って
山を登って来る姿が見えました。

おじいさんが朝、山に出かけようとすると、
おばあさんは、自分も歌声を聞きたいから、
お昼どきに、おにぎりを持って山に行くよ、
と言っていたのです。

「お待たせしました」

と言うおばあさんに、

「おぉ、ちょうどよかったよぉ」

おじいさんは笑顔で答えました。

「こっちじゃ」

おじいさんは歌声が聞こえる穴に向かって、
坂道を降りていきました。

やがて穴につくと、二人は穴のそばに座りました。

おばあさんは持って来た小袋から、
竹の皮に包まれたおにぎりを取り出しました。

「十個も作ってきましたよ」

「そうか、そうか、いっぱい歌が聞けそうじゃな」

おじいさんはおにぎりを一つ取ると、穴の中に入れました。

そして、おばあさんの方を向いて、人差し指を口の前で立てて、
静かに耳を澄ませました。

おばあさんは良く聞こえるように、
耳に手を当て穴の方に向けました。

すると、

♪おにぎりコロリン すっとんとん
♪コロコロコロリン すっとんとん

歌が聞こえて来て、おじいさんとおばあさんは、
お互いの顔を見てニッコリ。

二人は歌声に合わせて体を揺らしながら、
おにぎりを食べました。

しばらくすると、歌が止んだので、
今度は、おばあさんがおにぎりを穴に入れました。

♪おにぎりコロリン すっとんとん
♪また来たおにぎり すっとんとん

「ふふふ」

おばあさんは「成功!」と言わんばかりの笑顔を
おじいさんに向けました。

その後、おじいさんとおばあさんは、おにぎりが無くなるまで、
歌を聞きながらおにぎりを食べました。

やがて、おにぎりが無くなり、二人のお腹もいっぱいになりました。

「どうじゃ、楽しい歌じゃったろ」

と、おじいさんが言うと、

「えぇ、本当に楽しい歌でした」

おばあさんは笑顔で答えました。

「さて、仕事にもどるかのぉ」

おじいさんは立ち上がり、おばあさんは竹の皮の包みを
小袋の中に入れてから、立ち上がりました。

そして、おじいさんが穴のそばから離れようとしたとき、

「おやまぁ~」

と、おばあさんが声を上げたのでおじいさんは振り返りました。

すると穴の中から、ひょっこりと
ねずみが顔を出しているのに気付きました。

黙って見ていると、ねずみは小さな包みのようなものを
穴の縁に置き、すぐに穴の中へ入っていきました。

おばあさんはねずみが置いていった小さな包みを手に取ると、
それは木の葉っぱでできた包みでした。

おばあさんはおじいさんにも見えるようにして、
葉っぱの包みを開けました。

「まぁ~」

中には、美味しそうな木の実が何粒か入っていました。

「これは、もしかして、おにぎりのお礼かのぉ」

「そうかもしれませんねぇ」

おじいさんは早速、木の実をつまんで口に入れました。

おばあさんも一粒食べました。

「おいしぃ」

「おいしいのぉ」

二人はシワクチャな笑顔をお互いに向けました。

おばあさんは穴に向かって言いました。

「楽しい歌をありがとう」

「また来るでのぉ」

と、おじいさんは言って二人は坂をゆっくりと
のぼって行きました。

おじいさんとおばあさんは、その後、何度も何度も
おにぎりをたくさん作って、ねずみたちの歌を
聞きに来ましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 おむすびコロリン 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/03/15.htm

有名な昔話をほのぼのとしたアレンジしてみました。



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


おじいさんは、毎日の楽しみにしていた、
おばあさんが作ったおにぎりを落としてしまいました。

こんな風に、うまくいかないことってよくある話です。

でも、おじいさんはおにぎりを落としたことで、
歌声が聞こえる穴、という小さな発見をしました。

それをおばあさんに伝えることで、
おばあさんも楽しい気分になることができました。

大事なおにぎりを地面に落としたことを悲しんでいただけでは、
おじいさんもおばあさんも、ある意味ねずみも
楽しい気分にはなれなかったことでしょう。

おじいさんのように、うまくいかなかったことに注目するのではなく
その先にある小さな良いことに注目できるような人になりたいなぁ、
と、私は思います。

そう言う人になれたなら、きっと、周りにいる人も、
幸せになるはずです。


今日のHappy♪ポイント

『 小さな良い発見は、あえて大注目してみる 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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