※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年11月18日土曜日

ぽっかぽか火の用心

北風が冬の訪れを知らせてくれる寒い夜。

「火のよーじん カチカチ」

近所の子どもたちが集まって何人かの大人と一緒に、
拍子木をカチカチ鳴らし、火の取扱いには気を付けよう!
と呼びかけながら街を歩いていました。

「マッチ1本火事のもと カチカチ」

子どもたちは白い息を吐きながら大きな声を上げました。

夕飯の時間帯です。

街を歩いていると、あちらこちらからいい匂いが漂ってきます。

「あ、魚の匂いがする」

「コレ、絶対、野菜炒めだよ」

「カレーだ」

「うん、カレーだ」

「あー、カレー食べたくなった!」

子どもたちにとってのカレーの匂いの影響はすさまじく、
すっかり火の用心どころではなくなってしまいました。

付き添いの大人は笑顔で、

「カレーは分かったから、火の用心の声出し忘れないで」

そう言われても、カレーに気をとられた子どもたちは、

「ひ、ひ、火のよーじん、カチ、カチ」

と、声はバラバラです。

「マッ、チ、1本火事のもと~ カチカチ」

なんとも力の抜けた子どもたちの声が街に響き渡りました。

そんな時に、

「ごくろうさま~ぁ」

子どもたちに声をかける大人がいました。

この辺では有名な会社の社長さんの家で、
世話好きでも有名な奥さんが子どもたちを呼び止めました。

「おいしいおしるこがあるから、食べていきなぁ」

道路とお屋敷の門の間に広いスペースが空いていて、
そこに置かれたテーブルの上に、何個かお椀が並んでいました。

子どもたちは近寄っていくと、甘い香りがしました。

お椀の中には丸くて白いおもちが見え、
小豆色したつゆからは美味しそうな湯気が上っています。

「わーぁっ、」

子どもたちの表情はみるみる輝きを増していきました。

「寒かったろう、さぁ、お食べ」

「いっただきまーす!!」

子どもたちは白い息を吐きながらそういうと、
一斉に、お箸とお椀を取り、すぐさま口に運びました。

「アチチチチッ」

「慌てるなぁ~」

付き添いの大人たちがそう促しました。

「おいし~ぃ」

「あったまる~ぅ」

「しみるね~ぇ」

と、子どもたちはそれぞれの感想を言いました。

「おかわりもあるからねぇ!」

「イエーイ!!」

と、喜ぶ子どもたちの表情を見て、
世話好きの奥さんは目を細めました。

すると、1人の女の子が言いました。

「ほんと、寒かったから、うれしいです」

「ほんとほんと、ちょうど腹減ってたから最高だよ」

子どもたちが次々話し始めました。

「おばさん、ありがとう」

「おばさん、いい人ですね」

子どもたちの素直な一言に、
世話好きの奥さんはちょっと苦笑いしながら、

「ありがとう」

と、言いました。

そして、しばらくの間、子どもたちはそれぞれ好きなように、
おしるこを食べていました。

「そうだ、おばさん、おしるこのお礼に」

1人の男の子が言いました。

「おばさんの家だけ、火の用心は大目にみるよ」

「え?」

世話好きの奥さんはビックリしました。

「そうだそうだ、おばさんいい人だから、火の用心はしなくてイイよ」

別の男の子もそう言うので、奥さんはおもしろくて仕方ありません。

すると付き添っていた大人も笑顔になりながら、

「おいおい、お礼したいのは分かるけど、
 火の用心を大目に見てもお礼にはならないだろう!」

「えーぇ、そうなのぉ?」

男の子はとぼけた声を上げました。

「じゃぁさぁ」

今度は別の男の子が言いました。

「マッチ、3本くらいまで大目にみるよ!」

「えーっ!」

奥さんは驚きながら大笑い。

すかさず女の子が、

「バッカじゃないの、マッチ3本も使っちゃったら、
 大火事になっちゃうよ」

「そっか、──ってバカはねぇだろ!」

と、小競り合いが始まりそうだったので、付き添いの大人が、

「はーい、それではみんな、お椀とお箸をおいて、
 奥さんにお礼を言って出発しましょう」

おしるこがまだお椀に残っていた子は、慌てて口に入れ、
お椀とお箸をテーブルに乗せてから、

「ありがとう」

「おいしかったです」

「温まりました」

と、それぞれお礼を言いました。

中にはハイタッチをする子もいました。

「ハイ、がんばってね」

奥さんは1人1人と挨拶を交わしました。

最後に、付き添いの大人が、

「おかげで温まりました」

と、声をかけると、

「わたしの気持ちの方が、ポカポカしてきましたよ」

とニコニコ笑顔で言いました。

それからすぐに、子どもたちの声が上がりました。

「火のよーじん! カチカチ
 マッチ一本火事のもと! カチカチ」

先ほどよりも熱をおびた子どもたちの声が、
夜の街に響き渡りました。

「火のよーじん!! カチカチ!」


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 ほどほどに 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/02/04.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


もとのお話を現代の子どもに変えて作ってみました。

子どもって、自由に発言しますよね。
相手の気持ちなんて“忖度”しないから、
結構、言われた通りに受けると、傷ついたり、
イラッと来たりします。

当然、大人として、子どもに今の気持ちをそのまま伝えるもの
大切なことだと思います。

でも、子どもが言った何気ない言葉に対して、
全否定するようなことは言わない方がいいそうなんです。

何気なく言った言葉を否定された経験が多い子ども程、
自己肯定感の低い大人になる傾向があるというのです。

子どもに対して、注意をすること、叱ることは大事ですが、
その時、否定しないことが重要のようです。

「あなたはそう思うのね、でも、私はこう思うよ」

と、一旦、子どもが言ったことを受け止めてから、
否定的な言葉を自分の考えとして伝えるようにする。

そうすると、同じことを言われても否定されたと
捉え難くなるのだそうです。

これは、子どもに対してだけじゃなく、大人同士でもそうです。

受け止めることは「認める」ということです。
認めたからと言って、相手の発言に同意した訳ではありません。
そういう意見なのね、と相手の発言を認めただけです。

ちゃんと相手を認めた上で違う意見を言う。

円滑な人間関係に、
こういうコミュニケーションって大事だと思います。


今日のHappy♪ポイント

『 まず相手を認める 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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