※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年10月4日水曜日

臆病なウサギたち

ある日、ウサギたちが集まって話をしていました。

「こないだね、人間に追い回されて大変だったよ」

「あ、アレ、怖いよね。耳つかまれて
 “ぶらんぶらん”されちゃうんだよね」

話しながらウサギたちは“ぶるぶる”と震えました。

「君たちは人間でまだいいよ」

違うウサギが話を始めました。

「ボクなんて上からワシが飛び降りてきて、ビックリしたよ。
 とっさに穴に逃げ込んだからよかったけど、
 生きた心地がしなかったなぁ」

聞いていたウサギたちは、小さく体をすぼめました。

「わたしは、狼に追い回されたわ。わたしはなんとか逃げてきたけど、
 友だちが捕まっちゃって……」

と、話すウサギに、涙を流すウサギもいました。

「どうしてオレたちは、こうもビクビクしながら
 生きていかなければならないんだろう」

一羽のウサギがそういうと、何羽かが頷いて、

「そうだよ、毎日、辺りを気にして
 オドオドしながら生きてゆかなければならない」

「気が休まらないわよねぇ」

「わたしの友だち、どうなったのか、考えるだけでも恐ろしいわ」

「確かに、オオカミにつかまったときって、
 どんな感じなんだろう……」

その言葉で、ウサギたちは静かにうつむいて、
誰も話さなくなりました。

───少し時間を置いて、一羽のウサギが話しました。

「こんな思いをして、生きていく意味があるのかなぁ……」

ウサギたちは、きょろきょろとお互いの顔を見合わせました。

そして、一羽のウサギがぼそりと、ひとり言のように言いました。

「苦しい思いをするくらいなら、
 自分から死んだ方がましかもしれないなぁ」

ウサギたちは今発言したウサギを注目して、目が離せなくなりました。

「どうだろう、ボクはこれから池に飛び込んで死のうと思う」

そう言って、このウサギは、他のウサギの全員の顔を眺めて、

「強制はしない、ボクと一緒にくる奴はついて来てくれ。
 自分でよーく考えて、判断してくれ」

そう言うと、このウサギは池に向かって走り出しました。

そのウサギを目で追いながら、
他のウサギたちはどうしようか迷いました。

「確かに、苦しい思いをするくらいなら、ひとおもいに自分で」

一羽が走り出しました。

「びくびくして生きていてもしょうがない、ボクも行こう」

また一羽が走り出しました。

「わたしも行く」

「オレも」

「ボクも」

結局、すべてのウサギが池を目指して走り出しました。

やがて、最初に走り出したウサギに追いついて、
ヨコ一列に並んで池に向かって走りました。

「よし、みんな、池が見えたらおもいっきり飛び込むぞ」

「うん、コレで楽になるんだね」

そんなことを話しながら走りました。

そして、池が近づいて来ました。

「それ、行くゾ」

一羽が、池に向かって走るスピードを上げました。

その時です。

“バサバサバサ”

池の草むらの辺りから、草の揺れる音が聞こえました。

その後すぐに、

“ポチャポチャポチャン”

と、池になにかが落ちる音が聞こえました。

ウサギたちは驚いて立ち止まりました。

“バサバサバサ”

“ポチャポチャポチャン”

草は揺れ、池にはたくさんの波紋が広がっていきます。

“バサバサバサ”

“ポチャポチャポチャン”

目を凝らしてみると、カエルたちが驚いた表情で
必死に池に飛び込んでいるのが見えました。

“バサバサバサ”

“ポチャポチャポチャン───”

やがて、全てのカエルが池に飛び込み終わると
辺りは静かになりました。

ウサギたちは、しばらく呆然と立ちすくみました。

「みんな、今の見た?」

一羽のウサギがそう言うと、他のウサギたちはうなずきました。

「カエルは、ボクたちに驚いて、池に飛び込んで逃げていったね」

ウンウン、とウサギたちはうなずきました。

「こんなボクたちでも、驚いて、必死に逃げる生き物がいたんだね」

ウンウン、とウサギたちは激しくうなずきました。

「もしかして、ボクたちは、
 そんなに弱い存在では無いのかもしれない」

ウンウンウンウン、

「そりゃぁ、人間だのワシだのオオカミだのは怖いかもしれないケド、
 そんな怖がりのボクたちを、カエルは怖がってるんだ」

「そうよ!」

違うウサギが声を上げた。

「怖がっているのはわたしたちだけじゃない、
 もっと多くの生き物も怖がって生きている!」

「そうよ、なのに、なぜ、わたしたちだけが
 死を選ばなければならないの?」

「カエルたちだってわたしたちから逃げて、
 必死に生きようとしているのに」

ウンウンウン。

ウサギたちは大きく何度もうなずきました。

「死ぬなんてバカらしい」

「そうよ、なに考えてたのかしら、わたし」

「そうだよ、ボクたちはこうやって生きている、
 襲われた友だちの分も、生きていこうよ」

「うん、みんなで協力すれば、きっと楽しく生きていける!」

ウンウンウンウンウン。

ウサギたちはそれぞれの顔を見て確認するようにうなずきました。

そして、振り向き、いま来た道を帰っていきました。


“ゲコゲコ”

ウサギがいなくなると、池の中からカエルたちが、
草むらに戻って来ました。

「まったく、驚かすなよ」

「やれやれ、なんだったんだ」

と、カエルたちはウサギのいない草むらで、
フーッと溜息を吐きました。

“ゲコゲコ”


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 ウサギとカエル 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/01/15.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


思い込みが激しいと、どうしても考えが一方向になりがちです。

それが、団体になると、みんながそうしているからと、
余計に1つの方向へ進むことがあります。

赤信号みんなで渡れば怖くない

みんなで渡っても、1人で渡っても、
赤信号で渡っては、危ないことは同じです。

でも、みんながやってると、なぜか安心に思えてしまいます。

人は大勢の人がやっていることを簡単に受け入れてしまうのです。
ですから、危険でも、それに気づかずに一方向に進みやすい。

そんなときは、ウサギたちがそうしたように、
カエルという別方向の視点から見るようにすると、
また違った世界が見え、違った考えも出やすくなるのです。

その信号、赤だよ、車が来るよ! と。

でも、1つの方向の流れに乗ってしまうと、
なかなか別の視点から見ることは難しいことです。

なので普段から、いろんな視点から見れるように
心がけしておくと、いいのかもしれませんね。


今日のHappy♪ポイント

『 立ち止まって、別の視点からも考えることを癖にする 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


0 件のコメント: