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「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2017年8月12日土曜日

太陽と北風と雲と

今日もボクは真っ青な空にぼんやりと浮かんでる。

“雲”って人間たちはボクのことを呼んでいる。

一見、悩み無さそうにしているボクだけど、結構、悩みが多いの。

今もすごく悩んでる。

この前、太陽さんと北風さんの戦いを見た後から悩んでるの。

ボクはなんでこんななんだろう、って。

太陽さんと北風さんは、どちらが人間が着ている上着を
早く脱がすことができるかということで勝負してた。

勝負は太陽さんの勝ち。

ギラギラと人間を照らし気温を上げ、
暑くなった人間は自分から上着を脱いじゃったんだ。

さすが太陽さんはやることが大きい。

しかし負けたとは言え、北風さんもスゴイ!

だって、人間を縮み上がらせるほどの冷たい風を、
あんなに強く起こすことができるのだから、

ホント、スゴイ。

それに引き換え、ボクなんてこうやって青空のもと、
のんびりただ漂っているだけ。

太陽さんと北風さんのように、特別優れたものを持ち合わせていない、
なんて退屈な存在なんだろう、って思っちゃう。

そして、ついつい考え過ぎちゃって、悲しくなって涙を流しちゃうんだ。

涙を流していると、地上に落ちて「天気が悪くなった!」とか
「洗濯ものが乾かない」とか人間たちから文句を言われる。

慌てて通り過ぎ、ボクのあとに太陽さんが顔をだすと、
人間たちはみんな笑顔になって喜んでいる。

そんな人間たちを見て、人間たちはボクを嫌ってるんだな、
って分かっちゃう。

ボクは、どれだけ役立たずなんだ、と、また涙が溜まっちゃうんだ。

いけない、泣いたらダメだ。

ガマン、ガマン。

最近そう思って、涙を流すのを我慢してる。

ボクが泣いたら、また人間たちが怒っちゃう、悲しんじゃう。

ガマン、ガマン。

でも、泣くのを我慢していると、どんどん涙が膨れ上がって、
だんだん耐えられなくなっちゃう。

だから、怒られてもしかたないと思って泣いちゃうこともあるけど、
今回は我慢してやる、泣くことを我慢することで、
違った自分を発見してやる。

ボクも太陽さんや北風さんのような特別な存在になりたいんだ。

───ただね、

涙が溜まってどんどん体が大きくなって来ちゃってる。

体が重くて耐えられない。

我慢しようと思っても、涙が今にも溢れそうだ。

ガマン、ガマン。

でも、もぅ限界だ、どうしても涙がこぼれちゃう。

まったく、ボクって、いったいどこまで情けないんだ!

つくづく、自分が嫌になってくるよ!

『 泣きたければ、泣くといいよ 』

えっ?

なんか聞えた?

あ、太陽さんが笑顔でこっちを見てる。

「泣きたければ、泣くといいよ」

太陽さん、そんな気休めはいいよ。

「そうだ、そうだ、泣け泣け」

あ、今度は北風さんだ。

なんでみんなそんなにボクを泣かせたいんだ!

「ホラ、あっちまで飛ばしてやるから、うんと泣け」

って北風さんは言ったとたん、ボクに物凄い風を吹きかけてきた。

ボクは、物凄い勢いで飛ばされた。

今まで体験したことないような物凄い速さで飛んでいく。

どこに向かっているの?

怖い、怖い、早く止めて。

しばらく飛んだあと、

───徐々にスピードが弱まって来た。

そして、周りを見た。

どこ、ここ?

まるで知らないところ。

あっちもこちっちも知らない景色。

───心細い…。

どうして、ボクばっかりこんな目に合わなければならないの?

悲しい。

ずっと泣くのを我慢してきた。

でも、その我慢も限界。

でも、泣いたらダメ。

人間たちか悲しむから。

人間たちの悲しい顔を、もう見たくない。

ボクが我慢すれば済むこと。

そう、ボクが我慢すればいい。

我慢すれば、それで皆が笑顔になれるから……、

ガマン、ガマン

『 泣きたければ、泣くといいよ 』

必死に涙をこらえているのに、なんで太陽さんの言葉を思いだすんだ。

『 泣きたければ、泣くといいよ 』

ダメだ、ガマンしよう。

ガマン、ガマン。

───あ、
  
ひとりでに涙が一粒、落ちた。

あ、二粒目も。

もう、もう、止まらないよ~、

次から、次に、涙が出てくる。

我慢していた分、大量の涙が次から次へと流れてきた。

もう止まらない。

ボクは泣いて泣いて、泣き続けた。

頭に、人間たちの顔が浮かんだ。

怒ってる人、悲しんでる人、うなだれている人……

頭の中には、そんな人間の顔ばかりが浮かんでた。

きっとボクを恨んでいるだろう、そう思った。

ボクはおっかなびっくり地上を見た。

人間たちが、ボクの方を見てる。

───ん?

地上の人間たちの表情は、ボク思っていたのと違ってた。

笑ってる人がいる?

見間違い?

手を上げて踊っている人もいる!

えっ、なに?

なにが起こっているの?

ボクに向かって何度も頭を下げている人もいる。

なに? これはいったい?

「人間はあなたに感謝しているのですよ」

と、太陽さんが声をかけてくれた。

「ここの地区にあなたが来ないもんだから、
 ここに住む人間は水が無くて困っていたんです」

「そうだぞ」

と、今度は北風さんが声をかけてくれる。

「人間は、お前が降らす涙が無いと生きていけないんだ。
 だから、お前は泣かなくちゃダメなんだ」

ボクは泣かなくちゃダメ?

「そうですよ」

と太陽さん、「これは、あなたにしかできないことなのです」

えっ、ボクにだけ?

「そうだ、だからこれからもオレが飛ばしてやる、
 飛ばされたところで好きなだけ泣け」

え、北風さん、好きなだけ泣いていいの?

すると太陽さんが

「あなたの涙は、人間にとって恵の雨になります」

ボクの涙が、恵の雨?

「そうです」

ボクの涙には、そんな力があったの?

太陽さんは続けて、

「但し溜めてはダメ、一気に涙を流したら人間は大変困ってしまいます。
 泣きたくなったら、素直に泣いて、すぐに気分を変えること、
 それが大事ですよ」

そうか、そうなのか。

ありがとう、ボクはなんだか、
自分のことが少し分かったような気がするよ。

散々、泣いて、ボクはスッキリとした感じがした。

ボクが泣きやみ、変わりに太陽さんが現れたると、
人間たちは、歩き出したり仕事を始めたりしていた。

ボクの涙は人間の恵み。

これからは泣きたくなったら、溜めこまずすぐに泣こう。

そして泣きたくなったら北風さんに頼んで、
困っている場所に飛ばしてもらおう。

それまで、静かに浮かんでいよう。

青空のもとで、のんびりと。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 北風と太陽 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/09/18.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


あなたは自分には、イイところがない、と悩んだことはありませんか?

私はしょっちゅう悩んでいます。

今回の雲も悩んでいました。

この物語を読みながら、悩んでいる雲に対して、
読んでいるあなたはきっと、雲のイイところを
いっぱい考えたのではないでしょうか?

そして、雲のイイところがたくさん浮かんだと思います。

試しに、同じことを、自分に対してもやってみましょう。

自分のイイところをいっぱい考えてみましょう。

雲のイイところを見つけられたあなたなら、
自分のイイところを見つける能力を持っています。

たくさん見つけなくても大丈夫です。
1つで十分。

1つ見つけた自分のイイところを大切に育ててください。

キレイな花が開くように、大切にのんびりと。


今日のHappyポイント♪

『 イイところがあるのに、探さないだよね、みんな 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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