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「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2017年7月29日土曜日

天文学者と地質学者

昔々とある村に、天文学者と地質学者が住んでいました。

天文学者は日が落ちたあと、漆黒の闇の中でキラキラと
光を放つ星空を見ながら生活していました。

地質学者は日が昇ったあと、お日様の光に照らされた
地面を見ながら生活していました。

「おや、地質学者さん」

「あ、あなたは天文学者さん」

昼と夜が交差する、たそがれ時。

空も地面もオレンジ色に包まれた昼でも夜でもない時間に、
普段は殆ど顔を合わさない二人は水飲み場で出合いました。

「これから、観測ですか?」

地質学者が天文学者に聞きました。

「えぇ、これからです」

と答えてから天文学者は

「今日も暑かったですか?」

「えぇ、とても暑かったです」

地質学者は首にまいた布で頬のあたりを拭いてから

「もう、喉がカラカラで」

と、湧水が流れているところに水筒をあてて水を注ぎ、
それを口に運びゴクゴクを飲みました。

天文学者も腰から水筒を取り、水を注ぎました。

そして水筒の蓋をしめながら言いました。

「ところで地質学者さん、あなたはいつも地面ばかり見ていて、
 退屈では無いのですか?」

不意におかしなことを聞かれた地質学者は、

「はて、退屈だと思ったことはありませんよ」

と答えました。

「そうなんですか、いやぁ~、実にもったいない」

と、天文学者は両手を広げて、暗くなり始めた空を見ながら言いました。

「上を見ればこんなに素晴らしい景色があるというのに、
 下ばかり見ているのなんて、実に、もったいない」

地質学者も顔を上に向け、空を眺めました。

うす暗くなった空に、点々と星が瞬いていて、とてもキレイでした。

「確かに、キレイですね」

と、感動する地質学者に、

「そうでしょう、キレイでしょう!
 こんな景色を見ないで地面ばかり見ている生活なんて、
 あなた、人生、半分くらい損していますよ」

と、天文学者は言ってから

「あ、ちょっと言いすぎましたね。では失礼」

と、そそくさと去って行きました。

地質学者は天文学者を見送りながら、もう一度、空を眺めました。

「確かに、キレイだなぁ……、
 たまには星空を眺めるのもいいかも知れないな~」

と、近くにあったベンチに座り、しばらく星空を眺めていました。


そして何日かが過ぎたある日のこと。

ギラギラした太陽に照らされ、うだるような暑さの中、
地質学者は地面を見ながら歩いていました。

連日の日照り続きでで、水が少なくなり、
あちこちで井戸が枯れてしまう被害も出ていました。

「この辺も、だいぶ干からびてるなぁ」

地面は渇き、時折風が吹くと、
白い砂が舞い上がり風に乗って去っていきました。

「おや?」

人影もない渇いた大地で地質学者の目に何かとまりました。

「あれは井戸かな?」

と、首をかしげてから思い出したようにつぶやきました。

「街の中に湧水が出るようになってから使わなくなった井戸だ」

使われなくなったとは言え、今は貴重な存在です。
地質学者は井戸の中に水があるか、確かめるために近づきました。

井戸の側でしゃがみ、中を覗き込むと、

「おや?」

井戸の中には奇跡的に水がありました。

しかし、驚いたことに、井戸の中には水以外のものも入っていました。

「もし、そこにいるのは誰ですか?」

地質学者の問いかけに、井戸の中にいる人はすぐに上を向きました。

「あ、地質学者さん」

と、井戸の中から声がしました。

「そういうあなたは、天文学者さん!」

井戸の中にいたのは天文学者さんでした。

「どうして、そんなところにいるんです? 井戸の点検ですか?」

「いえいえ、そんな訳ないじゃないですか地質学者さんも人が悪い」

と、天文学者は苦笑いをしながら、

「昨晩に、夜空を眺めて歩いていたら、急に地面が無くなり、
 気付いたらこうなってしまったんですよ」

「あ、そうだったんですか」

「あの、地質学者さん、良かったらお話はあとにして、
 助けてはいただけないでしょうか?」

確かに、井戸の中にいるのも苦痛だろうと思い、
地質学者は近くにあった紐を井戸の中へ投げ入れ
天文学者を助けてあげました。

「いぁ、助かりました」

天文学者が言うと、地質学者は答えました。

「いいえ、助かったのは井戸に水があったおかげですよ。
 水がクッションになって落ちた衝撃を和らげ、
 喉の渇きも潤してくれたおかげです。
 ラッキーでしたね天文学者さん」

そう言われた天文学者は、

「ハイ、ラッキーでした! 水があったこともそうですが、
 それだけじゃない、地質学者さん、あなたのおかげです」

と、言ってから続けました。

「落ちたあとからずっと助けを求める声を上げていたのです。
 でも、誰も気づいてくれませんでした。
 日が昇り明るくなってからも叫んだのですが、誰も来てくれず、
 井戸から見えるのは青い空だけ、もうだめかと思っていました」

天文学者は両手を広げ

「そんな絶望的になっていた時に、あなたの声が聞こえ、
 見上げたら、日の光を浴びて逆光でしたがあなたの顔が
 うっすらと見えました、逆光が後光のように見え
 それはそれは眩い光景でした」

「はぁ~、いあ~」

と、褒められて地質学者は背中がむず痒く感じました。

天文学者は改めて言いました。

「私は、上ばかり見ていましたが、
 これからは地面も良く見ながら歩くことにします。
 井戸の中から空を見上げるのはもうこりごりですからね」

それを聞いて地質学者は

「そうですね、それはいいですね」

と言ってから

「私も、あなたに言われてから、
 毎日、夜空を眺めるようになりましたよ」

と続けました。

そして、二人はお互いの顔を見てぎこちなく笑ってから、
再開を約束してから、それぞれの道を歩き出しました。



おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 天文学者 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/06/16.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


あなたは、何を見て生活していますか?

「上を向いて歩きましょう!」

と、偉人たちの多くはそう言います。

上を向くと空が広がり、その広さに自分がちっぽけな存在に思え、
悩みもスッと消えていく感覚を味わうこともあるでしょう。

しかし、上ばかり見ていて足元を確認ないと、
この物語の天文学者のように井戸に落ちてしまうかも知れません。

一方だけではなく、その時々の周りの状況を良く見ながら
生活するのが理想のような気がします。

また、この物語の地質学者は天文学者に言われて
夜空の素晴らしさを知ることができました。

いろんな視点で物事を捕えると、世の中の見え方が変わります。

視点を変えずに生活するということは、
違う世界を見ることができないということ。

つまり、素晴らしいことを見逃している可能性がある!

そんな、もったいなくて窮屈な生き方、あなたはしていませんか?


今日のHappyポイント♪
『普段は見ようとしないものを、あえて見てみる!』


あなたの意見をお聞かせくださ~い(^-^)


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