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「もくじ」がちょっと新しくなったよ

2017年7月12日水曜日

泉のほとりのシカとライオン

金色の草原が広がるサバンナ。

その中で、キラキラと光り輝く水飲み場は、
動物たちの渇いた喉を潤す大切な場所です。

一頭のシカがやって来ました。

シカは足をピンと伸ばし、
ゆっくりと水面に口を寄せて行き、優雅に水を飲みました。

そして静かに顔を上げ、水面に映った自分の姿を眺めました。

(どーだい、この立派な角、いつ見てもキレイだ)

水面に映った立派な角が、シカの一番の自慢でした。

(こんなにも枝分かれしてる角を、自分以外、見たことがない)

シカは自分の角を見て、惚れ惚れとした気分で笑みを浮かべました。

(それに比べて……)

視線を下げていき、水面に映る自分の足を見つめました。

(この、細長い“ひょろ”と頼りない足はなんなんだ)

立派な角には似つかわしくない足を見るたび、
シカはガッカリするのでした。

シカはしばらく、自分の立派な角を眺めては惚れ惚れとし、
足を見てはガッカリとしながら水面に映る自分を眺めていました。

“ガサガサ”

後ろの繁みから微かな音が聞こえてきました。

ハッ、と我に返ったシカは視線を水面から繁みへと移しました。

凝視するまでもなく、そこには何かがいました。

しかも、何頭かいます。

群れで狩りをする動物、ライオンのようです!

シカは自分の姿に見とれていてライオンが近づいていることに
気付かず、周りを囲まれてしまいました。

(マズイ!)

そう思うと同時に、シカは俊敏な足さばきで走り出しました。

すると繁みの陰から一頭のライオンが飛びかかって来ました。

シカは軽やかにジャンプして、間一髪でライオンを飛び越し、
そのまま一目散に草原の方へ逃げました。

後ろからは、何頭ものライオンが現れて追いかけてきます。

(追いつかれたら食べられる)

シカは持てる力を振り絞って走りました。

今度は違う方向から、一頭のライオンがシカに襲い掛かってきます。

シカはすぐさま向きを変え、走りました。

シカが急に向きを変えたので、ライオンたちは、
足を滑らせたり、大回りしたり、ぶつかったり大慌てです。

そんなことなどお構いなしにシカは逃げました。

体制を整えたライオンたちも懸命に追いかけてきます。

しばらく草原を走っていたシカでしたが、
闇雲に走っていたために、森の中へ迷い込んでしまいました。

森の中では、草や木の根っこに足を取られてしまい、
速く走ることができなくなってしまいました。

追いつかれてしまう、と、シカは思いましたが、
足を取られるのはライオンたちも同じのようで、
距離が縮むことはありませんでした。

シカはホッとしながら、森の中をなんとか走り続けました。

しかし、だんだん森が深くなってくると

(イテテテテ……)

木々の枝に頭の上に生えている立派な角が引っかかるようになり、
その度に足を止めるようになってしまったのです。

角が無いライオンはどんどん距離を詰めて来ます。

“ガリッ”

角が枝に引っかかる度にシカは思いました。

(このままではライオンに追いつかれてしまう、
 この細長く頼りないと思っていた足は追いつかれない
 速さで走ることが出来るのに、立派だと思っていた
 自慢の角が邪魔になって走れないなんて……)

気付けばライオンはすぐ側まで来ています。

もう逃げるのは無理、捕まる!

シカは死を意識しました。

ライオンたちがどんどん迫ってきます。

シカは、何かいい方法はないか考えました。

ゆっくり考えている時間はありません。

周りを見渡すと、この辺りは森の中でも、
木々の少ない場所だということに気付きました。

(ここなら角にあたる邪魔な木々が無い)

シカに、ちょっとしたアイデアが浮かびました。

(やってみるか!)

と、ダメで元々で行動しました。

踵を返し、一頭のライオンめがけて突進したのです。

頼りないと思っていた足に力を込めて、自慢の角を向けて、
ライオンめがけて一直線に走り、体当たりをしました!

“グガァ!!!”

自慢の角に突かれたライオンは、
悲鳴にも似た叫び声を上げました。

シカはすぐに体制を整えると、別のライオンめがけて突進しました。

頼りないと思っていた足は、シカの意志にしっかりと応え、
凄まじい勢いでライオンに向かっていきます。

そして、自慢の角はライオンの体に鋭くぶち当たります。

“グガガガガァァァァァ!!!”

角を喰らったライオンは倒れ込んでしまいました。

二頭のライオンがあっという間に倒されたのを目の当たりにして、
他のライオンたちはひるんで近づいてきません。

その一瞬のスキを逃さず、
シカは草原の方向へ一目散に走って行きました。

森を出ると細長く頼りない足は速度を上げ、
草原を一気に駆け抜けました。

自慢の角には風が当たり、ヒューヒューを音を立てています。

どうやらライオンたちはもう追って来ないようです。

(助かったー)

とシカは安堵の息を吐きました。

そして足の動きは止めずに、思いました。

(自分は、なんてステキな角と、
 なんてステキな足を持っているんだろう)

シカは嬉しくなり、自慢の角で風を切りながら、
自慢の足を軽快に動かして、しばらく草原を駆け巡りました。


おしまい



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/01/18.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


もとのお話のシカは、欠点だと思っていた足が役に立ち、
自慢の角があだとなり、命を落としてしまいました。

童話でHappy♪のシカは、そこで終らず、
自分の持っているものを組み合わせることによって、
生き延びました。

発想を変えれば、欠点だと思っていたものって、
意外と武器になったりするんです。

欠点と長所を組み合わせたら、
さらにスゴイ武器に変わっちゃうかもしれません。。

『大切なのは、なにが与えられているかではなく、
 与えられたものをどう使うかである』

オーストリアの精神科医で心理学者、アルフレッド・アドラーの
言葉です。

欠点がたくさんある、というあなたは、
実は、武器をたくさん隠し持っている人なのかもしれません。


今週のHappyポイント♪

『 欠点を上手に使って、武器にしちゃいましょう 』


あなたの意見をお聞かせくださ~い(^-^)



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