※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2018年8月19日日曜日

ハチこそ最強の生物だ!

オレはハチだ!

体は小さいが、世界最強の生き物だと思っている。

なぜなら、このなんでも突き刺す針を持ってるからさっ。

この針で刺せば誰もが痛がって逃げて行く。

そう、例えば、あそこにいるライオン。

百獣の王だなんて威張ってやがるが、
オレの相手にもなりゃしない。

試しに近づいてみようか。

“ブーン、ブーン”

ほーら見たことか、オレの羽の音を聞いただけ、
血相変えて逃げて行ったぜ。

羽の音だけでライオンを追っ払う生き物が、
オレの他にいるかい?

お、ちょうどいい。
あそこに居眠りしているライオンがいるぞ。

“ブーン、ブーン”

羽を鳴らして近づいて行っても起きもしない。

間抜けな顔をして寝てるぞ。

よし、鼻を刺してやる。

エイ!

「ギャオー!!!」

ホラ見ろ! 飛び起きて鼻を押えて逃げて行ったぞ。

ライオンがあんな姿で逃げて行く生き物なんで、
オレたちハチくらいなもんだろ!

百獣の王も逃げ出す、オレたちハチは、
世界一強い生き物さ。

さっ、ライオンをからかうことにもあきたから、
家にでも帰るか。

“ブーン、ブーン”

うわぁ、なんだコレ!

飛んでいたら、なにかにぶつかったぞ!

ベトベトしていて、自由に動けない。

なんなんだ、このベトベトしたヒモみたいなものは!

体にまとわりついて、離れやしない。

まったく、こんなもんこんなところに張っとくなよ。

羽を動かしても飛べないし、はずそうとすると、
どんどん体にへばりついてくる。

なんだ、このヒモは!

ん!

オレの動き以外の振動が伝わってきた気がする。

───間違いない、オレの動きとは別の動きがする。

なんだ、なにかが近づいてくる感じがする。

───あ、あれは!

クモか!

そうか、これはクモの巣か!

オレとしたことが、クモの巣にひっかかるなんて、
なんたる不覚だ!

クモのやつら、巣にひっかかった生き物を
なんでも食べやがる。

いつもはクモの巣を注意して飛んでるから、
ひっかかりやしないのに、今日は油断してたぜ。

クモなんて、針で刺せば、簡単にやっつけられるのに、
こんなベタベタしたヒモが巻き付いてたんじゃ、
うまく針を刺せないよ…。

うわ、クモが近づいてきた。

くるな、あっちへ行きけ!

あーもーっ、このベトベトしたヒモ、頭にくる!

体勢を整えさえできれば、針であいつを刺して
追っ払うことができるのに。

まったく、こうもベトベトじゃ、なにもできやしない。

クモめ! 近づいてくるな!

オレは最強生物、ハチだ! 

オレの羽ばたく音を聞いただけで、
ライオンも逃げ出すほどの最強の生き物だ!

それなのに、クモなんかにやられてたまるか!

おまえなんか、針で一刺しでやっつけられるのにぃ。

くそー! それ以上近寄るな! あっちへ行け!!!

死にたくない、死にたくない!!

うあぁ!!!!!

“ザサザサザサ!”

なっ、なんだ!

うわわわわわぁ、なにかが体に当たったぞ!

この衝撃は、クモなんかじゃない。
だってクモは、オレの目の前にいる。

体全体に当たった感触がある。

もっと大きいなにかが、クモの巣にぶつかってきたんだ。

ん!

目の前は茶色い草原のようだ。

イヤ、違う、生き物の毛だ!

当たった拍子に、オレは茶色い毛むくじゃらの生き物の上に
乗せられたんだ。

生き物は歩いているんだろう、上下に揺れている。

目の前まで近づいてたクモも、おどろいた表情をしていた。

“ザザザン!”

うわぁ! こんどは上から、なにかが激しく降りてきた!

茶色い毛むくじゃらの足のようだ!

うわぁ、強い衝撃だ!

毛むくじゃらの上から落ちる!

目の前に、地面が近づいてくる。

このままでは、地面に叩きつけられる!

“ブ、ブーン、ブ、ン”

あ、毛むくじゃらの衝撃で、
ベトベトのヒモが切れたみたいだ。

羽が動く!

飛べる!

“ブブブブーン”

よし、いいぞ。

“ブーン、ブーン”

オレは、空中にいる!

下を見れば、地面すれすれ、危ないところだった。

クモの奴は地面に落っこちて、よたよたと歩き回ってる。

ふーぅ、助かった。

もう少しで、クモなんかにやられるところだった。

毛むくじゃらに、助けられたな。

いったい、毛むくじゃらの正体は誰だ!

ん?

なにかが走って遠ざかって行くぞ。

アレは……ライオンか?

毛むくじゃらの正体はライオン?

なんで逃げて行くんだ?

“ブーン、ブーン”

あ、この羽の音のせいか。

お礼をしたいが、逃げて行くならしょうがない。

心の中で感謝するよ。

もう、バカになんかしない。

世界最強生物のオレを助けてくれた、あんたこそ、
世界一の生き物だ。

クモなんて目じゃないね、あのベトベトのヒモさえなければ、
あんな奴……、

これからは、クモの巣に引っかからないように
注意して生きて行こう。

そうすれば、オレだってまだ、
世界で二番目に強い生き物だからな!


おしまい。


今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 カとライオン 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/06/07.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


☆ちょこっとHappy♪☆


勘違いしちゃうこと、ってありますよね。

勘違いしている人って、陰で笑われたり、
煙たがれたり、嫌われてしまいがちです。

全ての前提条件が勘違いから始まっていますから、
変なことを言ったり、変な行動をとってしまったりすることが、
多いからです。

今回のお話のハチのように、勘違いが災難を招くこともあります。

なるべく、勘違いしないで生きて行きたいものです。

でも、です。

残念ながら、勘違いしないで生きて行くなんてできません。

人間の脳は、超高性能なので、基本的に自分に都合のいいように、
判断したり、記憶してしまいます。

なので、勘違いが山のように膨らんでいきます。

童話でHappy♪ には『 私が好きな歌 』というお話があります。

この主人公は、自分は歌が上手いと勘違いしていましたが、
そうではないことを気づかされます。

人は、まず自分で判断します。
自分は歌がうまいとか、イケメンだとか、可愛らしいとか。

それが勘違いか、勘違いじゃないのかは、
往々にして、社会が判断してくれます。

社会なんて、勝手な価値観でできています。

勝手な判断基準で、勘違いか、勘違いじゃないか判断されます。

しかも、人1人が接する社会なんて、社会全体の、
ほんのわずかな範囲だけです。

そんな判断に、アナタはどう反応しますか?

大切なことは「勘違いだと気づいたときに、自分はどうするか」
ということです。

勘違いを指摘されて、笑って「そうか!」と受け入れられると、
人間として成長することができるかもしれません。

逆に、「なるほど、人はそう思うのか」と受け入れて、
それでも、勘違いを通す、ということもできます。

その場合、頑固者として笑われる人生を送ることに
なるかもしれません。

はたまた、勘違いを押し通して、誰も到達できなかったことを
発見して成功者になれるかもしれません。

勘違いに気づいたときに、自分はどうしたいのかを、
考えることが大切です。

一番、やってはいけないことは、落ち込むことです。

誰でも、人間は勘違いします。
絶対にします。

落ち込むのではなく、どう活かすかを考えてみましょう。


今日のHappy♪ポイント

『 勘違いを飛躍に変えちゃおう! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/