※しばらくの間、童話の更新は週1回(土曜日の夜)のみになりますm(_ _)m

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2018年3月21日水曜日

赤い顔のお地蔵さま

むかし、むかしのことです。

とある村の片隅にお地蔵さまがおりました。

お地蔵さまは、だまって道端に立っていますが、
実は村人たちのことをよーく知っています。

ある日のこと、若者がやって来ました。

この若者は毎日のようにお地蔵さまに手を合わせに来て、
元気に感謝の言葉を言っていきます。

そしてこの若者が、村で一番の働き者だということも、
お地蔵さまは知っていました。

しかし今日の若者は様子がおかしいと、
お地蔵さまは感じました。

さえない表情をしていて、いつもの元気もなく、
なんだか青白い顔をしています。

若者はお地蔵さまに手を合わせて言いました。

「お地蔵さま、この田植えで忙しい時期に、
 私は体調を崩してしまいました。
 こうして、お参りに来るのもヘトヘトになるくらい、
 体調が悪く、田植えができません。
 どうか私の体調を直してください」

若者は念入りにお辞儀をすると、おぼつかない足取りで、
フラフラと帰っていきました。

若者の祈りを聞いたお地蔵さまは、

(願いを叶えてやりたいが、困ったなぁ、
 私は医者じゃないから、体調は治せないなぁ)

と、思いました。

(とは言え、この時期に田植えができなければ、
 あの若者はこの一年、収入がなくなってしまうなぁ)

それは若者にとっては辛いことです。

(あの若者は働き者だし……、よし、ここは私が一つ、
 力になってやるか!)

お地蔵さまおもむろに目をパッと開けました。

すると、体を覆っていた灰色の石が、ボロボロとはがれていき、
その下から、人間の肌が現れ、あっという間に、
人間の姿になってしまいました。

お地蔵さまは自分につけられていたヨダレかけを
ふんどしの代わりにし、チャンチャンコを羽織ったまま、
若者の田んぼへ向かいました。

そして裸足のまま田んぼに入り、せっせと耕し始めました。

通り掛かった村人が「こんにちは」と挨拶するので、
「こんにちは」と答えました。

村に住むハチベーだと、お地蔵さまは気付きましたが、
ハチベーは、知らない顔を見た、と、首を傾げ、
不思議そうな顔をしながら去っていきました。

次の日も、次の日も、お地蔵さんは若者の田んぼに行って、
作業をしました。

田んぼで作業をしていると、村人からよく声をかけられました。

お地蔵さまは、声をかけて来たものが誰かはすぐ分かりました。

しかし、声をかけた村人たちは、みんな不思議そうに
「誰だろう?」という表情をするので、お地蔵さまは
楽しくてしょうがありませんでした。

やがて、若者の田んぼで働く見知らぬ人の噂は村中に広まり、
村長さんのところまで届きました。

田んぼの仕事が一通り終わり、お地蔵さまは土手に座って、
(後は体調が戻った若者に任せれば大丈夫だろう)
と、のんびり田んぼを眺めていと、後ろから声をかけられました。

「どなたか知らんが、この田んぼの世話をしてくれて
 ありがとうございます。
 お礼をしたいので、一緒にお酒でも呑みかわしませんか?」

声をかけてきたのは村長でした。

お地蔵さまは村長の言葉に甘えて、お礼を受けることにしました。

村長の家では、お地蔵さま(知らない人)を囲んで、
何人かの村人が集まって大宴会が開かれ、翌朝まで盛大に続きました。


次の日、なんとか体調が良くなった若者は、
すっかり田植えが終わっている自分の田んぼを見て
ビックリしました。

「きっと、お地蔵さまが、私の祈りに応えてくれたのだ」

若者は走ってお地蔵さまのところへ行きました。

そして、お地蔵さまの前に膝まづくと、

「ありがとうございます、ありがとうございます」

と、手を合わせて何度も何度もお辞儀をしました。

ふと、改めてお地蔵さまの姿を見ると、
おかしなことに、泥で汚れたヨダレかけを股にかけ、
顔が赤く汚れていることに気づきました。

「お地蔵さま、ちょっとの間、だいぶ汚れちゃいましたね」

と、呟くと、若者は急いで家に帰り、樽と桶に水を入れて、
キレイなぞうきんを持ってお地蔵さまのところへ戻って来ました。

泥のついたヨダレかけやチャンチャンコを樽の中に入れ
キレイに洗い、お地蔵さまを顔や体をぞうきんでキレイに拭き、
ヨダレかけとチャンチャンコを元通りの位置につけました。

そして、キレイになったお地蔵さまの前に立ち、
改めて、手を合わせて深々とお辞儀をしました。

若者は最後にお地蔵さまの顔に目をやりました。

何度キレイに拭いても、赤い顔の汚れは取れませんでした。

でも、赤い顔のお地蔵さまは、なんだか気分が良さそうに
見えたので、そのままにしておくことにしました。

そして、もう一度お辞儀をして、若者は笑顔で帰っていきました。

この年の秋、若者の田んぼには立派なお米がみのり、
若者はすぐにおもちをこしらえて、お地蔵さまに備えましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 地蔵の田植え 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/05/03.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


「困った時の神頼み」

こんなことわざがありますが、普段はお参りもしてないのに、
困った時にだけ神や仏を頼っても応えてくれるはずもありません。

今回のお話の若者は、いつもお地蔵さまにお参りしていたから、
いざという時に助けてもらえました。

普段からお地蔵さまにお祈りをしたり、特定の神さまに
お祈りをするということは大事なことなのかもしれません。

しかし、宗教というと、どうしても胡散臭く感じる日本人は
多いと思います。

そう思う人は、何の対象も持たず、
心の中で、勝手に感謝してみるとイイと思います。

良いことがあったら、とりあえず感謝。
悪いことがあっても、とりあえず感謝。

心理学や脳科学の世界では
『楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ』
ということが事実として知られています。

いつも感謝している人間になれると、
いつしか感謝される人間になれるかもしれません。

いつも何かに感謝していると態度が変わり、
行動が変わります。

すると、それが他の人にも伝わり、いつの間にかに、
感謝される人間になる、という理屈です。

本当かどうか、証明するのは簡単です。

今から、なんでもかんでも、感謝すればいいだけです。

感謝しまくって、あなた自身で、
真実かウソか確かめてみちゃいましょう。


今日のHappy♪ポイント

『 心の中で、勝手に感謝しちゃいましょう! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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