※しばらくの間、童話の更新は週1回(土曜日の夜)のみになりますm(_ _)m

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2018年3月17日土曜日

季節の妖精たち

ある日のこと、冬の妖精と春の妖精が話をしていました。

「春さんはいいよなぁ、あなたが顔を出すと、
 人間たちはニコニコしながら外に出て来て、
 楽しそうになる。それに引き換え……」

冬の妖精は俯いて淋しそうな表情で、

「冬になると人間たちは、着物の襟を押えて縮こまり、
 家の扉をしっかり閉めると、
 閉じこもって外に出て来なくなってしまう。
 そして、みんな家の中で言うんだ。
 早く春が来ないかなぁ~、って」

冬の妖精が言い終わると、

「そうですか? そんなことないと思っていました」

春の妖精が明るい声で言いました。

「私は、冬の人間たちは、雪山や氷の上をすべって楽しんでんるなぁ、
 と思っていましたよ。
 こたつに入っている姿も暖かそうで幸せそうだし、
 雪だるま作りなんて、私、やりたくてやりたくて
 憧れちゃいますよ」

「へー、そんな風に思ってるんだ~」

と、冬の妖精は呟きました。

春の妖精は続けました。

「それに、春になったら、人間たちは、やれ風が強いだの、
 暑い日と寒い日の変化が激しいだの、
 頭がボーっとするだの、着る物が分かんな~いだの、
 最近では、目がかゆくて鼻水がダラダラと止まらないだの、
 も~う、うるさ~ぁい! って叫びたくなっちゃうほど、
 たくさんの愚痴を言ってますよ」

「え、そんなに愚痴が多いんだぁ」

「ハイ、梅雨に入れば入ったで、早く夏にならないかなぁ、
 あのギラギラした日射しが待ち遠しい~、
 とか言い出しますしね」

「確かに! 夏の人間は楽しそうだよね。
 それこそ活動的になって、海へ行ったり、山に行ったり」

「それに、お祭りしたり、花火まで上げて「たまや~」って
 もりあがっちゃう!
 かき氷もスイカも美味しそうで、私は夏に憧れちゃいます」

と、春の妖精が笑顔で言うと、

「それは誤解だよ」

「あ、夏の妖精さん、こんにちは」

冬の妖精と春の妖精は、夏の妖精に挨拶をしました。

「君たちは夏を誤解しているよ」

「そうですか、人間たちは、夏を待ち焦がれているように
 見えますけど」

と、春の妖精が言うと、夏の妖精は「そんなことはない」
と、言ってから続けました。

「夏になったら、どれだけの人間が動かなくなるか、
 外はもちろん、家の中にいても、グダ~っとしてるし、
 熱中症になってしまうもの多い。
 最近じゃエアコンなんてつけるから、よけいに疲れ果てて、
 夏の終わりには「いつまで暑いんだ」と力なく訴える始末だ」

聞いていた春の妖精は、

「確かに、あの時期の人間は、かなり元気が無くなって、
 まさに夏バテ、って感じがしますね」

と、同情するような顔をしました。

「すると、人間が一番好きなのは秋なのかなぁ」

と、冬の妖精が言うと、夏の妖精が言いました。

「そりゃそうだろう、過ごしやすい気温になるし、紅葉はキレイだし、
 なんたって、米だの野菜だの、いろんな食べ物が実るし、
 秋は人間にとってイイことが詰まっているだろう」

「そうですよね」

と、春の妖精は、

「実りの秋、食欲の秋、読書の秋、なんて言葉があるくらいだもの
 人気アリアリ~、って感じですね」

「睡眠の秋、なんて言っている人間もいるね」

冬の妖精が頷くと、

「さぁ~、それはどうなんでしょう」

と、静かな声で秋の妖精が現れました。

「こんにちは」

冬と春と夏の妖精が挨拶をすると、

「はい、こんにちは」

ゆったりとした口調で秋の妖精は答えてから言いました。

「秋になると、長雨が続いてしまって、人間たちは大そう困ります。
 お日様が出ている時間も短くなり、段々、気温も下がって来るので、
 不安になってくるかたも多くいて、皆、淋しそうにしています」

それから秋の妖精は「フフフ」と、少し微笑んでから、

「秋の人間たちは、早く冬になって、
 クリスマスやお正月が来ないかなぁ~、と、
 待ち遠しく思っていますよ」

「へぇ、冬を待ち遠しく思っているのかぁ」

冬の妖精が呟きました。

春と夏の妖精は、秋の妖精の話を聞いて、
「う~ん……」と、考え込んでしまいました。

それからしばらく、四季の妖精は頭を傾げて、
黙ってしまいました。

「つまり……」

冬の妖精は言いました。

「人間たちは、それぞれの季節で楽しみ、
 それぞれの季節で苦しみ、それでも生活している、
 ってことなのかなぁ」

春の妖精が答えます。

「そうですね、それぞれの季節の良いところではしゃぎ、
 悪いところでは愚痴りながら、生きているのかもしれませんね」

夏の妖精が続けます。

「つまり、どの季節にも、いいところもあれば
 悪いこともある、ってことだな」

「はい、」

と、秋の妖精は静かに言ったあと、

「私たちは、その季節に合った、その季節らしい世界を
 作り上げることが、大切なのだと思います」

冬と春と夏の妖精は大きく頷きました。

そして、冬の妖精は春の妖精に言いました。

「立派な春にしてくださいね」

「ハイ、任せてください、後はお願いしますよ、夏さん」

「おう、ギラギラの夏にするよ、次は頼むぞ秋さん」

「はい、暑さでバテた体を、優しく包み込みます。
 そして冬さん」

「うん、一年間過ごせるように、じっくりと人間たちが
 休める季節にするよ、そして、」

と言ってから冬の妖精は、春、夏、秋の妖精の顔を見て、

「素敵な一年を作りましょう」

そう言ったのと同時に手を伸ばし、春夏秋の妖精も手を添え、
四季の妖精たちはしっかり握手をしました。

そして笑顔で、自分たちの季節へ帰っていきました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 冬と春 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/04/19.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


梅雨のころに「夏が待ち遠しい」と言っていたのに、
夏になると「毎日暑くて嫌になりますね」と言っている人、
いませんか?

「一年ってあっという間だよね」

と、いつも言っている人、いませんか?

私は小さいころ疑問に思っていました。

「あなた、夏が待ち遠しい、って言ってなかった?」
「一年なんて同じ長さだから、いい加減、気づこうよ」

と、捻くれた思いを浮かべていました。

でも、コレって、捻くれている訳では無く、

『言葉の意味をそのまま受け入れている素直な子』

の考え方なんだと思います。

大人になって知りました。

「夏が待ち遠しい」
「一年ってあっという間だよね」

って、ただの、コミュニケーション手段だったんですね。

実際、自分でも使ってみて分かりました。

季節の話題で会話を始めると、その後の会話が、
とても自然な感じに進んで行きます。

会話が苦手、会話が続かない人がよくやりがちなのが、
相手との呼吸やタイミングを合わせずに、
話を始めてしまうことです。

長縄とびに入れないで引っかかってしまうのと同じで、
会話にも呼吸やタイミングを合わせることが重要です。

呼吸やタイミングを合わせるのに手っ取り早いのが、
お互いが分かる言葉を交わすことです。

それには季節の話題や天気の話題がうってつけなんですね。

なぜなら、皆が一緒に経験していて
「雨はうっとうしい」
「夏は暑い」
など、ある程度、同じような感想を持っているからです。

お互いが分かる言葉としてこんな都合のいいものはありません。

季節の話題は真に受けず、会話のクッション材として、
やんわりと受け取る。

そして、自分から会話をするときは、思い切って、
ベタに季節の話題から入ってみる。

そうすれば、きっと、会話がしやすくなると思いますよ。


今日のHappy♪ポイント

『 会話の切っ掛けは、季節の話題が一番! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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