※童話の更新は週1回(だいたい土曜日の夜)です(^0^)/

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年12月31日日曜日

【日記】2017年の大晦日

【お題】2017年、どんな1年だった?


今年は、なんと言っても「童話でHappy♪」を始めたことが
大きなことでした。

童話を読のも書くのも好きな私が、趣味の延長のように始めた
ブログですが、皆さん、楽しんでいただいていますか?

イソップ物語など、大人が読んでもためになる童話は
とても多いです。
しかも、子どもでも分かるように書かれているので、
分かりやすい!

子供向けに書かれている児童書などは、科学や歴史など
専門的な知識を大雑把に理解したいときなどは、
小難しい大人向けの本を読むよりずっと頭に入ってきます。

でも、書店の児童書コーナーって、ちょっと入りにくいんですよね。
しかも、やっぱり児童向けに書かれた文章は、ちょっと回りくどい。

そこで、大人でも読めるような童話集を作れたらなぁ~、
なんて、思い付きでできたのが「童話でHappy♪」です。

皆さん、少しはHappy♪な気分になれましたか?

来年は、今年以上に、
皆さんをHappy♪にできるようにがんばります♪

皆さんにとって、来年が、

喜びいーーーーーっぱい♪

の年になりますように。


よいお年を(^o^)/

2017年12月30日土曜日

小人のクツ屋さん

ここはお爺さんとお婆さんが長年やっているクツ屋さんです。

今は、営業が終わって明かりが消えています。

店内は真っ暗ですが、街灯の光が入口の窓から入って来て、
作業台の上だけは明るくなっていました。

お爺さんはいつもこの作業台でクツを作っています。

いつもは営業が終わったあとは、作業台の上には
何も乗っていないのですが、今日はなにかが乗っていました。

別に、営業している訳ではないので、
作業台になにか乗っていても問題はなさそうですが、
そうはいかないのでした。

「よいしょ、よいしょ」

作業台には棚が付いていて、それを支える柱があります。
その柱を伝って、何者かが降りてきました。

その者は、街灯の光で明るくなっている作業台に降り立つと、

「あれぇー」

と声を出しました。

そのすぐ後から、もう一人が柱を伝って降りたちました。

「どうしたのさぁ、そんな間抜けな声を出して」

と、言いながら、初めに降りた子の隣に立ちました。

二人は、このお店に住んでいる、元気な裸んぼうの小人です。

お店の営業が終わったあと、作業台はいつも二人の遊び場でした。

いつもは広々としている作業台の上で、かけっこをしたりして
遊ぶのですが、今日はなにやら物が置いてあります。

「ここに物があるなんて珍しいね」

一人の小人が言いました。

「なんだろう、アレ」

二人は作業台に置いてる物のそばに行きました。

薄くて茶色い物が置いてあります。

それはクツを作る材料の革というものです。

小人はそっと触ってみました。

「あ、コレ、もしかしてお爺さんが作っているものの
 材料じゃない?」

「あ、ホントだぁ、いつもお爺さんが作ってるやつだ、
 クツとか言ってたっけ」

小人たちの周りには、いろんな形をした革がありました。

「ねぇねぇ、ボク、クツ、作れるよ!」

一人の小人が言うと、

「ボクだって作れるさっ、いっつも上から見てるもん」

二人は屋根裏に住んでいて、いつもお爺さんがこの作業台で
仕事をしているのを見ていました。

「じゃぁさぁ、今日は、これを作って遊ぼうよ」

「いいね! お爺さんみたいに、作っちゃおう!」

二人の小人は、薄い茶色のものを持ち上げてくっつけました。

「お爺さんは、なんだか、細くてとんがったもの使っているよね」

革を繋ぎ合わせる針のことです。

「なんだか、棒の先に黒いものがついたやつで叩いてたりするよね」

クツの底にくぎを打ちこむための金づちのことです。

二人は作業台の周りを探し始めました。

「あ、細くてとんがっているもの発見! よいっしょ」

「叩くの発見、よっ、あー、これオモーイ!」

金づちは二人がかりで持ち上げました。

道具がそろうと、二人はお爺さんがやっていたことを思い出しながら、
協力してクツを作り始めました。

「これはこうやってぇ」

「よっと、ここに入れればイイね」

「よし、叩くよ、抑えといて」

「いいよ、持ってるよ」

全身を使い、作業台の上を、あっちに行ったりこっちに来たり
しながらなんとかクツを完成させました。

「ふぅー、できたね」

「うん、よくできたね」

「もう、外は明るくなって来たね」

「うん」

「疲れたね」

「うん、眠いね」

「うん、眠い」

と言いながら、二人はちょっとフラフラしながら棚の柱を、
よいしょ、よいしょ、とよじ登って自分たちの部屋に帰り、
ベットでぐっすりと寝てしまいました。

次の日、二人がまた屋根裏から作業台に降りてくると、
また革が置いてありました。

しかし、今日のは茶色ではなく、赤やピンクの革でした。

「あ、こっちには太い棒みたいのがあるよ」

「ホントだ! コレって、
 お爺さんが女の人によく渡してるやつだよね」

「そうだそうだ、女の人が嬉しそうに持っていくやつだ」

どうやら女性用のクツの材料が置いてあるようでした。

「ボク、これ作れるよ!」

「ボクだって作れる!」

二人はまた協力してクツを作り始めました。

革を縫い合わせたり、金づちで打ち込んだり、
昨日も同じようなことをやりましたから、慣れたもんです。

でも、クツの種類が違うので、ちょっと難しいところもあって、
結局、クツを完成させたときは、もう外は明るくなっていました。

「完成したね」

「うん」

「眠いね」

「うん」

と、言いながら、小人は棚をよじ登って
屋根裏の部屋に帰っていきました。

そしてまた次の日、営業が終わったあとの作業台に
小人たちが降りてきました。

「あれあれぇ」

「今日も、なんか置いてあるぞ」

二人が、置いてあるものに近づいて行くと、
なにやら昨日までとは違ったものが置いてありました。

「今日のは、なんか軽いね」

「うん、薄いし、なんだか肌触りがいいね」

肌触りが良かったので、二人は置いてあるものにほおずりをして、
心地いい気分になりました。

「あれ、コレ穴が開いてるぞ」

「あ、ホントだ、切れてて穴が開いてる」

「あ、コッチもだ」

「三か所穴が開いてる!」

「一つは大きな穴で、その先が二つの長細い穴に分かれてる」

二人は穴に、顔を入れたり、腕を通したりして
しばらく遊んでいました。

「ん? あ、これ、もしかして」

「なに、なに」

「こうやって、こうやって」

一人の小人が、穴に頭から上半身を入れました。

「ホラ、顔が出た、手も出た、ちょうどいい」

「あーっ!!! これもしかして、服かも!!!」

「えっ、服?」

「そうだよ、ボクたちの服だよ!!!」

二人は大興奮して、作業台に置かれていた二人分の
シャツとズボンを身に付けました。

「わーい、服を着たの初めてだよ!」

「ボクも初めて!」

「ぴったりだ!」

「ぴったりだね!」

服を着た二人は、向かい合ってお互いの姿を見ながら大はしゃぎ。

服は全部着ましたが、まだ作業台の上には何か残っています。

「あ、これ、クツじゃない?」

「ホントだ! クツだ!」

二人は、クツを履きました。

「わーい、クツだクツだ、ボク、クツを履いてるよ!」

「うん、お爺さんがいつも作ってるクツだ!」

二人はクツを履いて、向き合って踊りました。

「わーい、ボクらは裸じゃなーい♪」

「クツだって履いているーぅ♪」

「おそろいの~ふく~♪」

「おそろいの~くつ~♪」

作業台の上で、二人は大喜びで歌をうたってはしゃぎました。



作業台で服とクツを身につけてはしゃいでいる小人の姿を、
気づかれないように、扉を少しだけ開けて、
お爺さんとお婆さんが見ていました。

お爺さんは店を閉める前に切り取った革を、
うっかり作業台に置いたまま、寝てしまったのですが、
起きてみてクツが出来上がっていたのでびっくり!

お婆さんに不思議なことがあったと話すと、
試しに今日もクツの材料を作業台の上に置いて隠れて見てみよう、
ということになり、二人でこっそり見ていると、
小人が降りて来て、クツを作り始めたので二人ともびっくり!

お爺さんとお婆さんは、クツを作ってくれたお礼をしようと、
裸んぼうの小人のため、お爺ちゃんは小さなクツを作り、
お婆ちゃんは小さな服を作りました。

作業台の上で、大はしゃぎで喜んでいる小人の姿を、
お爺さんもお婆さんも、目を細くして、
満面の笑顔で見ていました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 小人とクツ屋 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/03/13.htm

もとの話から、小人目線で書いてみました。



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


先が見えないと不安に感じるときがあります。

いつも見慣れた場所に変化があるときも不安に感じます。

小人たちも、いつもとは違う作業台を見て、少し戸惑いました、
しかし、すぐにそれらを使ってクツを作り始めました。

小人たちが不安になった時間はとても短い時間です。

不安よりも、これはなんだろう?
という好奇心があっという間に湧いて来たからです。

人は大人になるにつれ、悩み事が多くなってきます。
目の前で起こっていることの、先を想像して不安になったり、
過去の経験からまずいことが起きるかも、と考えたりします。

子どもは、未来を想像する力も未熟なら、
過去に経験も少ないですから、
目の前で起こっていることそのものに興味を持ちます。

いろいろ考えない分、不安になっている時間も
短くて済むのでしょうね。

先が見えなくて不安になったとき、
あれこれ先を想像しないで、今、目の前で起こっていることに
集中すると、けっこうあっさりと不安は消えていくのかも
しれません。


今日のHappy♪ポイント

『 なにが起きているのか? そこに注目! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月27日水曜日

きのこと言えば椎茸

昔々の日本では「きのこ」と言ったら
「椎茸(しいたけ)」と皆が思うほど、
椎茸が盛んに栽培され、食べられていました。

「するとなんだ、きのこを献上しろと、
 城の役人が言っているのじゃな」

とある村のお寺の和尚が村人たちの話を聞いて言いました。

「そうなんです。急に一軒の家につき千個と。
 ───それで、困っているんですよ」

村人が今にも泣きそうな顔でそう言いました。

「フム」

と、和尚は頷いてから

「しかし今年は大量に採れたのだろ?」

「確かに大量に採れましたが、あれを売ってわしらは生活しています。
 それを取られたら、食うこともできなくなります。
 しかも、もう、今年採れた分は、ほとんど残ってないんです」

村人たちは肩をすくめました。

和尚が詳しく聞くと、村人たちは大量に採れた椎茸を街で売りさばき、
儲けたお金で、お正月を過ごす為の仕度を買って来たことを話しました



「で、街から村へ帰って来たところ、
 こんなおふれ(命令)が届いたんです」

村人は和尚におふれの紙を差し出しました。

「今まで、こんなおふれもらったことなかったから、
 どうしたらいいもんか、わしらじゃ考えつかないんで
 和尚さまに相談しよう、となった次第です」

和尚はおふれを受け取り、

「そりゃ、困ったのぉ~」

と言いながら、坊主頭を手でこすって難しい顔をしました。

そして、しばらく俯いた状態で何も話さなくなりました。

村人たちは、無言で何か考えているような和尚の姿を見守りました。

和尚はおふれの書かれた紙に少し目をやりました。

「よし!」

と叫んで、パン、と足のももの辺りを叩いた和尚は
おふれを村人たちに見せながら話しました。

「見よ、ここには“きのこ”を献上しろ、と書いてある」

村人が頷くと和尚は、

「わしにいい考えがある。お前たちはスマンが、山に生えている、
 木でも草でもなんでいいから苗を大量に摘んで来てくれ」

「苗ですか?」

キョトンとする村人に和尚は、

「さようじゃ、木の苗は“木の子”じゃ、ここには
 “きのこ”としか書いておらん、だから木の子を献上するのだ」

というなんとも危うい和尚の言いぐさを聞いた村人たちは
驚きながら、

「そんなことをして、和尚さま、大丈夫ですか?」

「案ずるな、策がある」

と、言って和尚が自信ありそうな顔を見せたので、
村人たちは不安を抱きながらも、和尚の指示に従いました。

そして三日と間を空けず、木の苗ならぬ“木の子”が
大量にお寺に持ち込まれました。

和尚はそれを弟子たちに持たせ、早速、お城へ向かいました。

お城に入り、献上の品の“きのこ”だと荷物を差し出すと、
役人がやって来て荷物を確認しました。

役人は荷物を確認するやいなや、顔をゆがめて和尚に聞きました。

「これはなんだ?」

和尚は何食わぬ顔で「“きのこ”でございます」

「きのこ?」

役人は頭を捻りながら、

「どう見ても、苗にしか見えんが、これのどこが“きのこ”なのだ?」

「ハイ、木の苗、すなわち“木の子”でございます」

和尚は涼しい顔をしながらそう言い、頭を下げました。

それを聞いたお役人の顔はみるみる赤くなっていきました。

「バカモン!! 木の苗がきのこのハズがあるまい!」

「おや、それではお役人さま、
 きのことはいったい何のことでしょう?」

和尚はすました声でたずねました。

「きのこと言えば、椎茸のことに決まっておろう!」

怒鳴り声をあげたお役人はさらに続けました。

「それを苗を持って来て、木の子などと屁理屈を言いおって!!」

お役人はエライ剣幕でまくしたてています。

和尚はちょっと目を見開いて、驚いたという表情を
わざとらしく見せてから言いました。

「これはこれは申し訳ありません。とんだ勘違いをしました。
 “きのこ”を献上しろとのお達しだったので、
 わたくし共はそのとうり従ったまでで、椎茸なら
 そう言ってくだされば献上しに参ったのですが、困りました、
 もう、今年採れた分は街へ行って売り払ってしまいました」

そうひょうひょうと和尚が話すので、役人は渋い顔になりました。

そして、しかたなさそうな口調で言いました。

「あなたが和尚じゃなかったら、この場で切っているところだが、
 確かに、椎茸とは言わず“きのこ”とおふれを出したわしらも悪い、
 今回は、これで免じる。但しだ」

と言ったあと、役人は声を低くしてから続けて言いました。

「来年は椎茸を今年の分も合わせて倍の量、献上するように」

そう言われた和尚は、顔色一つ変えずに、

「これはこれは、ご寛大なご采配。誠にありがとうございます」

と、深々と頭を下げ、そして、声を変えずに続けました。

「お役人さま、確認いたしますが」

「なんだ」

「“きのこ”と言ったら椎茸のことで、
 椎茸と言ったら“きのこ”のこと、間違いありませんね」

「クドイ、きのこは椎茸! 椎茸はきのこだ! 間違えぬように」

「分かりました、しっかりここに書いておきます」

と言って、紙と筆を出して書き、役人に見せました。

それを見て役人が頷いたので、和尚は頭を下げて立ち去りました。

村に帰ってから、この話を村人にすると、

「和尚さま、来年は倍だなんて、そりゃあんまりだぁ、
 ワシら今年の収穫量でも生活がやっとなのに、
 もう生きていけなくなります」

村人の悲痛な叫びに、和尚は不敵な笑みを浮かべながら、

「案ずるなと言っておろう、わしに任せろ」

と言ったので、村人たちは半信半疑でしたが、
和尚を信じることにしました。

そして次の年、お城からおふれが来ました。

今年は、去年の失敗からかちゃんと

“椎茸を一軒につき二千個献上するように”

と書いてありました。

しかし和尚の村では、去年とはうって変わって
少しの量しか椎茸が採れませんでした。

村人は困り果てました。

ただでさえ収穫が少ないのに、
去年の倍もお城に献上しなければなりません。

うなだれている村人たちを和尚はなんとか言い伏せて、
献上の品を持って、お城へ向かいました。

去年と同じ役人が和尚の前に現れました。

「来たな! 一年ぶりだな和尚」

役人は倍の量で大きく膨れ上がった荷物を見て、
嬉しそうな顔で、すぐさま中身を確認しました。

「なっ!!」

確認して、お役人はびっくり!

そこには去年の倍の量の、木の苗(木の子)があったのです。

お役人は烈火のごとく大声を出して、

「これはなんだ! 去年と同じではないか!
 和尚! どういうつもりだ!」

「はい、“きのこ”をお持ちしました」

と、和尚は何ら表情を変えずに淡々とした口調で答えました。

「なに! わしはちゃんと“椎茸”を献上しろと書いたぞ!!」

もうカンカンで頭から湯気が上りそうなお役人に対して、
和尚は表情をそのままに、さらりと言いました。

「はい、ですから、きのこをお持ちしたのです。
 去年、わたしはここでお役人さまに確認しました。
 きのこと言えば椎茸。椎茸と言えばきのこ。と」

「この通り」と言わんばかりに、和尚は
去年書いた紙を役人に見えるように差し出しました。

「はっ!」と思い出したような声を役人が上げました。

和尚は続けます。

「お役人さまは確かに、きのこは椎茸! 椎茸はきのこだ! 
 と、仰いました。そして今回のおふれには、この通り」

と、おふれを取り出し、

「“椎茸を一軒につき二千個献上するように”と書かれています。
 よって我々はそれに従ったしだいです」

「ムムムムムムムム」

お役人は苦虫を潰したような悔しそうな顔をしました。

そして、しばらく仁王立ちになっていましたが、
「ちょっと待っておれ」と言い残し、後ろに下がっていきました。

しばらくして、役人は戻ってくると、

「殿がお呼びだ、参れ!」

そう言われた和尚は、シメタ、と思いましたが、
それを悟られないように平然と頷き、役人について行きました。

案内された部屋に入ると、殿さまが笑顔で和尚を迎え入れました。

「お主が、おもしろいトンチを言う和尚か!」

殿さまは上機嫌でそう言いました。

和尚は「お会いいただきまして光栄です」と
深々と頭を下げてから話を始めました。

今年は椎茸が不作だったこと。
椎茸は村人が生活するのに大切な品物で、それが無いと
ささやな正月も過ごせないことなどを静かに訴えました。

話を聞いた殿さまは、大きく頷きました。

そして、

「おもしろいトンチのできる和尚に免じて、
 来年からの椎茸の献上を見直すことにしよう」

と笑顔で言って、来年からの椎茸の献上を
免除してくれることを約束してくれました。

実は、殿さまがトンチ好きなことを和尚は知っていて、
殿さまに直接会って話をする機会をうかがっていたのです。

こうして和尚が考えた、木の子の策は、キレイに実りました。

和尚が村に帰ってその話をすると、村人たちは、

「やっぱり、わしらの和尚さまはスゴイ!」

と言って、お祭り騒ぎのように踊って喜びました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 キノコ問答 吉四六(きっちょむ)さん 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/03/12a.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


無理なことを要求する人は必ずいます。

その度、イヤな思いをしたり、怒りを覚えてしまったりします。

このお話の和尚のように振る舞えれば、
とても気持ちがいいでしょうが、
現実は、なかなかそうはうまくいきません。

ただ、この和尚のように、知恵をしぼることは
大事だと思うのです。

要求されたことは本当に無理なのか、
他にやり方はないのか、或は、やらずに済む方法はないのか、
いろいろと、じっくりと考えて、知恵をひねり出してみる。

いい知恵が見つかればラッキー!
もし、見つからなくても、考えたことによって、
次につながるかもしれません。

無理だと思う局面に何度もぶつかり、その度に知恵を絞る為に考える。

そうして、考えるクセが付いたら、その能力は、
やがてあなたを救ってくれる知恵を生み出してくれるはずです。


今日のHappyポイント♪

『 考えるクセがついたら、それは強い武器となる 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月25日月曜日

【日記】メルマガ発行!!

メリークリスマス!

きよしこの夜!

遂に!!

童話でHappy♪のメルマガができました!!

題して『 お便りでもHappy♪ 』です。

(童話でHappy♪の右側のエリアに購読boxがあります)

今まで書いて来た童話を一話ずつ日曜日の夜にお届けします。

発行したばかりなので、どんどんリニューアルすると思いますが、
「童話でHappy♪」ともども「お便りでもHappy♪」も
どうぞ、よろしくお願いします

2017年12月23日土曜日

美味しいエサと枯草

むかしむかし、ある家に2頭の馬が飼われていました。

馬小屋に隣同士に並んでいた馬のうち、
1頭の馬には、いつも美味しいエサが与えられ、
もう1頭には枯草がエサとして与えられていました。

1頭の馬が隣の馬に言いました。

「君は、そんな美味しくもない枯草ばかり食べていて、
 辛くないのかい?」

「うん、大丈夫。それより君は、美味しいエサを毎日食べてるけど、
 イザ戦争になったら、戦いに行かなきゃならないんだよね。
 その方が辛くない?」

「辛くないよ」

「でも、戦争に行って、帰って来なかった馬はいっぱいいるよ」

「うん、知ってる。でも戦争なんてそう頻繁に起こらないけど、
 食事は毎日のことだからね。いくら戦争に行かなくて済むからって
 君のように枯草ばかり食べさせられるのはゴメンさ」

「そっか、確かに、いつ来るか分からない戦争のことを心配するより、
 毎日美味しいものを食べた方が、幸せかも知れないね」

「そうだよ、その方が幸せだよ」

美味しそうなエサを食べながら1頭の馬は得意げにそう言いました。

すると、枯草を食べている馬は、

「でも、ボクは戦争が無くても、戦う練習が苦手だから、
 のんびりと農作業を手伝っている方がいいよ」

「そうか、君は農作業が好きなんだね。ボクは農作業が苦手だから、
 戦う練習の方がイイ。なによりおもいっきり走れるしね」

「そうだったね、君は走るの好きだもんね」

そんな会話をしながら、2頭は仲良くエサを食べていました。

そして、しばらくの時が過ぎました。

2頭はそれぞれ戦いの練習をしたり、農作業を手伝っていました。

ある日のこと、どうやら人間たちは戦争を始めたらしく、
いつも美味しいエサを食べていた馬は鉄の鎧を着させられました。

「まさか、本当に戦争になるとは思わなかったね」

毎日、枯草ばかり食べていた馬が言いました。

鉄の鎧を着せられた馬は、

「どうやら今日出撃のようだ」

「そっか、じゃぁ、しばらくは並んで食事することはできないね」

「うん、でも、戻ってきたら、また食事しようね」

「そうだね、そうしよう、きっと戻って来てね」

「あぁ、きっと戻ってくるさっ」

と、言ったあと、鎧をつけた馬は、人間に引っ張られ、
戦場へと旅立っていきました。

1頭だけ残された馬は、隣に誰もいない馬小屋で、
少しさみしく枯草を食べました。

そして毎日、農作業の手伝いをする変わり映えのない
日常を過ごしていました。

そんなある日のこと。

農作業を終えて枯草を食べていたときに、飼い主が近づいてきました。

なんだろうと思い、馬は顔を上げると、飼い主が話し始めました。

「おまえは農業用の馬だけど、馬が足らないというのでな、
 かんべんしてくれよ」

と言うと同時に、馬に鎧をつけ始めたのです。

突然、鎧を着させられたので馬はビックリしました。

首や背中に、ずっしりと重たい鎧が次々と乗せられます。

馬は今まで麦や藁などいろいろ担いできましたが、
こんなに重い物を担いだのは初めてでした。

そして鎧を乗せられたあと、
歩くように促されたので、足を前に出しました。

なんとか歩けましたが、重くてフラフラです。

しばらく歩くと、鎧を身に付けた兵隊さんがいました。

その隣まで歩いて行くと、兵隊さんは背中に飛び乗って来ました。

ズシン、と背中にさらに重い物が加わりました。

馬は耐えきれなくなり、思わず膝から崩れるように
しゃがみ込んでしまいました。

飼い主は声を上げました。

「やっぱり無理ですよ、こいつは普段から枯草しか食べてないから、
 力が出ないんだ」

「そうか困ったな」

と、兵隊さんは馬から降りてアゴに手を当てて考えました。

「どうだろう、鎧を脱がして、
 馬だけでもなんとか貸してくれぬか?」

「お国のためなら仕方ありませんが、
 なるべく無事に返してくださいよ」

と、飼い主は言って馬から鎧を外しました。

鎧を外されて、身が軽くなった馬ですが、

(ボクは戦場に行くのか? それも鎧無しで。
 ボクは美味しいエサも食べていないのに!!)

馬はとても複雑な思いをしました。

そして、兵隊さんが背中に飛び乗ってきて、お腹の辺りを足で
ポンと叩くので、指示されるがままに歩き出しました。

(いやだ戦場には行きたくない。戦い方もしらないし、
 美味しいエサも食べてないじゃないか!!)

イヤでイヤで泣きそうになった馬でしたが、
人間には逆らえず、しかたなく戦場に出向いて行きました。

それから何週間か時が経ちました。

2頭の馬は無事、ケガもなく戦場から帰って来ました。

そして以前のように2頭並んでエサをもらいました。

相変わらず1頭の馬のエサは美味しそうで、
もう1頭のエサは枯草でした。

美味しいエサをもらった馬は、エサを食べずに言いました。

「君を戦場で見かけたよ、鎧もつけずに大変だったね」

「うん、戦い方も知らなかったから、
 みんなが戦っているのを後ろから眺めるしかなかったよ」

「でも、食料や水を運んでくれたよね」

「うん、いつ襲われるか、おっかなビックリだったけど、
 戦っている皆のためだと思ってがんばった。
 役に立ったかな?」

「役立ったも何も、君がいなかったら食事もできずに
 戦えなかったよ」

「そっか、役に立てたのなら、よかった」

と、安堵して枯草のエサを食べようとする馬に、

「ちょっと待って」

と、もう1頭の馬は、前足を上手く使って、自分のエサを
隣の馬のエサの中に入れ、両方のエサを交ぜてしまいました。

枯草を食べようとしていた馬が驚いていると、

「君も美味しいエサを食べる権利があるよ」

「えっ」

「一緒に食べよう」

「うん」

と、2頭は美味しいエサと枯草をまぜ合わせたエサを
仲よく食べ始めました。

「美味しいね」

「うん、美味しい」

2頭はお互いの顔を見ながら、戦場から帰って、
またこうやって一緒にエサが食べられていることを
幸せに思いました。

エサをまぜて仲良く食べる2頭を見て、飼い主は驚き、
その後は、2頭に同じエサをあげたということです。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 馬と兵隊 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/03/12.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


大変な目に合うと、ごく普通のことがいかによかったことだったのか、
身に染みて思うことがあります。

今回の馬たちも、一緒にエサを食べられる喜びを実感していました。

しかし大変な目が大きすぎると、人の心には大きな痛手が残ります。

その痛手を癒すのに、とても時間が掛かる人と、
それ程、時間が掛からない人がいます。

時間が掛かる人は、心の切り替えができにくい人。
忘れようとしても大変なことが頭から離れなくなってしまいがち。

時間が掛からない人は、切り替えが早い人。
大変なことを忘れるわけではなく、終わったこととして、
今を集中して生きられる人。

後者の人は、平常心、つまり普通の精神状態に戻るのが、
早い人。

大変な目に合ったり、イヤな思いをしたとき、
なかなか立ち直れないという人は、無理に忘れようとせず、
とりあえず、今は普通の状態、ということを心掛けてみると、
少し気分が上向いてくるかもしれません。

今は大丈夫。

今は平気。

今は楽しい。

そこから始めてみると、いいと思います。


今日のHappy♪ポイント

『 忘れることより、現状を知ること 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月20日水曜日

神さまに祈る前に

昔々のお話です。

年老いた村人が家に帰るために歩いていると、
街はずれの舗装されていない道で、
馬車を止めている若い男性を見かけました。

村人は村の人間なら全員知っていますが、男性の顔は
見たことがありませんでした。

男性は馬車の横でひざを地面につけて、両手を胸の前で組み、
頭を少し下げ、目をつむり、何やら“もごもご”と
ひとり言を言っていました。

年老いた村人は、男性に声をかけました。

「若いの、どうなさった?」

男性は目を開けると、手を組んだまま立ち上がり、
村人の方を向いて言いました。

「困ったことがあったもんですから、神さまに祈りをささげていました」

「困ったこと? 祈り?」

村人は、小首を傾げながら「なにがあったのじゃ」とたずねました。

「ええ、それが馬車の荷車が深い溝にはまってしまって、
 動かなくなってしまったのです」

「え!」

村人はちょっと驚きました。

馬車を見ると、馬の後ろに荷物を積んだ荷車が繋がれていて、
両側に一輪ずつある車輪の片方が、確かに溝にはまっていました。

しかし村人はそのことに驚いたのではありません。

村人は男性に訪ねました。

「あなたは、神に祈っていたと言ったが、
 なにを祈っていたのじゃ?」

男性は、なんの躊躇もなく言いました。

「はい、馬車を動くようにしてくださいと」

男性の答えに村人は少し言葉を失いました。

そして、我に返って、

「そ、そんなこと、神さまに祈らんでもいいでしょう」

と、半ばあきれたように言いました。

「はぁ、でもぉ、こうなっては私は神に祈るしかありません……」

男性は溝にはまっている車輪に目を向けています。

村人はあきれたように、無言で荷車の後ろへ行きました。

「わしが荷車を押すから、合図をしたら馬を動かしてくれ」

「え、あ、はい」

男性の気の抜けた返事には構わず、村人は、

「せーのっ!」

と、掛け声を上げると同時に、荷馬車を思いっきり押しました。

男性は慌てて、馬に鞭を入れました。

「ウムムムムムムム」

村人は腕で荷車を持ち上げるように押し、足を踏ん張り力を入れました。

鞭を入れられた馬も一生懸命、前へ進もうとしています。

やがて荷馬車の車輪が傾きだしました。

「フムムムムムム」

村人は体を荷車に預けるようにくっつけ、
さらに力を込めて荷車を押しました。

「ムムムムムムム、ハーッ!」

と、村人の叫び声と共に全身に力をいれると、
荷車の車輪は動き出し、溝から見事に抜け出しました。

前へ進む荷車の後ろ姿を眺めながら、
村人は“フゥーッ”っと大きく息を吐きました。

男性は慌てて馬を止め、村人の方へやって来ました。

「助かりました。ありがとうございます!」

男性は目をキラキラさせて村人に感謝の言葉を投げかけました。

「なんの、なんの」

と、村人は言ってから、腰に手を当てて、
少し背中をそらしました。

そして、肩を軽く回した後、よかった、よかった、と喜んでいる
男性に言いました。

「車輪がはまったあと、荷車を後ろから押そうとはしなかったのかい?」

男性はすぐに「ハイ」と返事をしました。

「押しもせず、神さまに祈ったの?」

村人がそう言うと、男性はすぐに「ハイ」と答えました。

村人は(やれやれ)と頭を静かに横に振りました。

男性は“ハッ!”となにか気づいたような顔をして、
村人に近寄り言いました。

「もしかして、あなたが神様ですか!
 助けに来てくれたのですか!」

村人は慌てて、

「わしは神さまじゃないよ、通りすがりのもんじゃ、
 ただ、車輪を溝から出すのに慣れているだけじゃ」

と、言いましたが内心

(こんなことで頼りにされたんじゃ、神さまも大変じゃなぁ……)

と思いました。

「どちらにしろ、あなたは恩人です。
 ありがとうございます」

男性は村人の方を向いて、手を組み、頭を下げました。

「おいおい、勘弁してくれよ」

男性はさんざんお礼をしながら、馬を引いて去っていきました。

村人は、良いことをしたような、からかわれているような、
なんだか複雑な思いをしながら、若者を見送りました。

“フーッ”

そして、家に向かって歩き始めました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 牛追いとヘラクレス 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/03/09.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月16日土曜日

シッポを切られたキツネ

「どう、ボクのシッポ、キレイだろう」

子ギツネのポンタにとってシッポは自慢でした。

「確かに、ふわふわしてる」

「なめらかな毛並みだー」

仲間の子ギツネたちも感心しています。

ポンタは仲間たちが感心している声を聞くことが好きでした。

ポンタにとってシッポは、自分の中で、唯一と言ってもいいほど、
自慢できるものでした。

しかし、そんなポンタのシッポに悲劇が起こりました。

ある日のことです。

子ギツネのポンタは自慢のシッポをゆらゆらと振りながら
森の中を歩いていました。

“ガシャン”

「イテーッ!!!!!」

ポンタは悲鳴を上げました。

自慢のシッポの辺りがジンジンと痛みます。

ポンタがシッポの方を見ると、
人間の仕掛けた罠にシッポが挟まっています。

挟まっているだけならまだ良かったのかもしれません。

よく見ると、ポンタのおしりとシッポが切れて離れていました。

ポンタは痛かったので、しばらくその場でうずくまっていましたが、
このままでは人間に捕まる、と思って立ち上がり、歩き出しました。

シッポが切り落とされたために、罠に捕まることはなく、
おしりの痛みをこらえながら自力で歩いて、
なんとか家に辿りつきました。

その日から数日間、ポンタはおしりが痛くて、
家の中でずっと寝ていました。

しばらくして、段々とおしりの痛みが収まっていきました。

ポンタは改めて自分のおしりを眺めました。

自慢のシッポが無くなったおしりは見事なくらい殺風景でした。

ポンタは溜息をつき、下を向いて悲しい表情をしています。

「こんなおしりじゃ、恥ずかしくてみんなの前に出られないや」

ポンタはみんなに笑われている自分を想像しました。

“ブルブル”

そんな想像を振り払うかのように頭を振りました。

でも、家にいてもお腹がすくだけです。

外へ出ないで生活することはできません。

なんとか、おしりを隠して生活することはできないかと考えましたが、
なかなか難しく、いい知恵が浮かびませんでした。

ポンタは頭を働かせました。

ふと、ある考えが浮かび上がりました。

「ん…、でも…、───いや、うまくいくかも知れないぞ」

ポンタは満面な笑顔になり、みんなに会いに行くために
家を出ました。

ポンタはみんなが集まっている草原へやって来ました。

「あ、ポンタだ」

「ホントだポンタだ、久しぶり」

「ポンタ、最近見かけなかったけど、どうしてたの?」

と、仲間の子ギツネたちがポンタの姿を見つけて近寄って来ました。

みんなが集まってくると、ポンタは得意そうな表情をしました。

そして、

「ジャジャーン!!」

と、声を上げて自分のおしりをみんなに向けました。

「あーーーーー!!!!!」

みんなは目を見開いて大きな声を上げました。

「ポンタ、シッポ」

「どうしたの、シッポ」

「自慢してた、シッポが無いぞ!」

そんなみんなの驚く声を聞いて、
ポンタは「フフーン」と笑みを浮かべて言いました。

「切って、しまったのさっ」

「えー、またどうして!」

一匹の子ギツネが言いました。

ポンタは得意げに続けます、

「もう、重たくて、かったるいから、思い切って切り取ったよ!
 そしたら、清々しくなったよ」

「え、清々しいの?」

「へぇ、切ることできるんだぁ」

と、子ギツネたちは口にしています。

ポンタはさらに続けて、

「君たちも、シッポなんて切り落としちゃえばいいさっ」

と言いました。

子ギツネたちは、自分たちのシッポを眺めました。

ポンタは、得意げに笑いました。

(みんな、その気になってるな、これでみんなも
 シッポを切ってしまえば、ボクだけ恥ずかしい思いをしなくて済むぞ)

子ギツネたちはシッポを切り落とすなんて、
思ってもみたことが無かったので、どうなんだろう、
と自分のシッポを眺めていました。

そんな仲間の姿を見て、ポンタは言いました。

「さぁ、怖がらないで、みんなもシッポを切ってしまおう」

というポンタに、

「ちょっとまった!!」

と、一匹のキツネが声を上げました。

どこからか現れた、なんでも知っている長老キツネです。

ポンタは、ヤバイと思いました。

長老はポンタに近づくと、強い口調で言いました。

「見損なったぞポンタ!」

ポンタも他の子ギツネも驚きました。

長老は続けます、

「おまえがどんな理由でシッポを無くしたか知らないが、
 みんなをだまして、すすめることはないじゃろ!」

なんだって!

という驚きの声が、他の子ギツネから上がりました。

そして、するどい目をポンタに向けました。

みんなのするどい目を見てポンタは、
引きつった笑みを浮かべましたが、やがて肩を落として、
一言言いました。

「ごめんなさい」

「もーぅ」と、子ギツネたちは呆れた声を出しました。

「なんで、ポンタはウソを言うのさ」

「ボクたちをだまそうとするなんて、ヒドイじゃないか!」

子ギツネは口をそろえて言いました。

ポンタは、消え入るような小さい声で言いました。

「シッポがないのが、は…、は、ずかしくて……
 みんなに笑われると思って……」

ポンタの言葉を聞いて、子ギツネたちは肩を落としました。

長老はポンタに寄り添って言いました。

「ポンタ、シッポを失ったおまえの気持ちはよーく分かる。
 でもな、恥ずかしがることはない。
 おまえにシッポがあろうが、なかろうが、我々は仲間だ。
 誰も笑ったりはしないよ」

ポンタは顔を上げて、子ギツネたちの顔を眺めました。

「そうだ!そうだ!」

「だますほうがよっぽど悪い!」

子ギツネたちはそう言いながら、うんうん、と頷いて、
優しい表情でポンタを見ています。

「み、みんな……」

ポンタはみんなをだまそうとした自分を恥ずかしいと思いました。
そして、涙を流して泣きました。

泣いているポンタに長老は声をかけました。

「しかしポンタ、おまえはみんなをだまそうとした。
 それは悪いことだ。よって、これからバツを与える」

「バツ?」

「そうしなければ、だまされそうになったみんなもナットクせん」

ポンタは、仲間の顔を見ました。

仲間も仕方ない、というような表情でポンタを見ていました。

「ポンタよ」

長老は厳格な口調で言いました、

「バツとして、シッポを失った話を、今からみんなに聞かせるように」

ポンタは目をパチパチしながら長老を見つめました。

長老は続けて言います、

「そのほうが、みんなのためだ、みんなを危険から守ってくれる」

長老の声は、少し優しい声になっていました。

子ギツネたちも、うんうん、と頷きました。

ポンタみんなの顔を眺めてから、涙を拭きました。

「分かった」

と、言って、ここ何日かの辛い日々を、みんなに話しました。

子ギツネたちはポンタの話を真面目に聞きました。

「それは痛かったねぇ」

「辛かったろう…」

話を聞きながら、涙を流すキツネもいました。

ポンタは話しながら心が熱くなるのを感じたのでした。

話しが終わった後、ポンタは長老に頭を撫でられました。

ポンタは「ごめんなさい」と言ってから、
大声を上げて泣きました。

その後、ポンタはシッポがないことなど気にすることもなく、
以前と変わらず、仲間たちと一緒に仲良く暮らしました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 シッポを切られたキツネ 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/03/06.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


素直になれないとき、ってありますよね。

なんでしょうね、アレ。

プライドなんでしょうかね。

プライドなんて無いと、自分では思っていても、
素直になれずに、誤魔化しちゃったりしたとき、
後で振り返って、プライドがあったんだー、と気付き、
こっぱずかしくなります。

プライドなんて捨てろ!

という人がいます。

でも、プライドは捨てすぎると、今度は、自己肯定感の低い人、
自信が持てなかったり、うつ状態になってしまったりします。

ほどほどのプライドは持っていたほうが望ましそうですが、
どの位がほどほどなのでしょう?

ほどほどのプライドを測る道具として『素直になれないとき』って、
使えませんか?

過去を振り返ってみて、あの時は素直になれなかったなぁ、
ということを思い出してみてください。

そこに、あなたのプライドが潜んでいます。

そのプライドって、捨てられるものですか?

それとも、捨てられないほど大切なものですか?

捨てられるプライドなら手放しちゃいましょう!!

捨てられないプライドなら、大切に持っていましょう。

これからも起こるであろう、素直になれないとき。

そこに隠れているプライドを表に出して見て、

いる? いらない?

を、はっきりさせると、自分にとっての“ほどほど”のプライドが、
持てるようになるかもしれません。


今日のHappy♪ポイント

『 素直になれなかったときのプライドに注目! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月13日水曜日

お婆ちゃんの古時計

あたしには、お婆ちゃんが1人だけいます。

もう1人のお婆ちゃんはあたしが生まれたときには、
もう亡くなっていたから、写真でしか見たことがないの。

微笑んでいる写真のお婆ちゃんを見てると、
本当に、優しいお婆ちゃんだったんだろうなぁ、
と、思っちゃう。

それに引き換え、あたしのお婆ちゃんは、すっごく厳しいの。

そして、すっごくケチなの。

今日からあたし、1人暮らししているお婆ちゃんの家で
一緒に住むことになったの。

お母さんが入院することになったから。

あたしの弟が生まれるらしい。

お父さんは仕事と病院で忙しいし、学校も近いってことで、
しばらくの間、あたしは1人だけでお婆ちゃんの家で
一緒に暮らすことになった。

お婆ちゃんがケチで厳しいことは知っていたつもりだったけど、
一緒に住むようになると、もう、大変。

ちょっとでも電気を点けたら怒るし、
水道の水は使う分を洗面器に溜めてからじゃないと使えないし、
冷蔵庫の中のものを取る時なんて、
ちょっとだけ開けてさっと取り出さなければ怒られるし。

もーう大変!

なんか、一日で疲れちゃったよ~。

もう寝よう、っと思って、ちょっと早い時間だったけど、
お風呂に入ってリビングを通って、自分の部屋に行こうと思ったの。

そしたら、お婆ちゃんが椅子の上に立って、
リビングにある時計に向かって何かしてるのが見えた。

その時計はね、床に直接置かれてて、あたしの背よりうんと大きくて、
茶色い木目に覆われててね、振り子が振られるたびに、
コツコツコツ、っていう音がしてた。

お婆ちゃんの古時計、ってちょっとなんか変。

あたしはお婆ちゃんに近づいていって、

「お婆ちゃん、何してるの?」

お婆ちゃんは振り向きもせずに時計の扉を閉めながら、

「時計を止めてるのさ」

「時計を止めちゃうの? どうして?」

そんなこと聞いたことないよね。

うちのお母さんなんて、時計が止まったらすぐに電池取り替えて、
動かしちゃんもん。

あたしが驚いているとね、お婆ちゃんはこっちを向いて、

「時計を止めるのは、時計の歯車がすり減らないようにだよ」

「え、でも、時計止めちゃったら、時間くるっちゃうよ」

って、言うとね、お婆ちゃんはあきれたような顔をしながら、

「くるったら、明日の朝直せばイイじゃないか、
 あたしは、この時計をずっと使っていたいんだ。
 少しでも壊れないように、夜は止めるのさ」

え、それって、やっぱり、ケチだから?

まぁ、寝てるときは、時間がくるっても困らないし、
お婆ちゃんにはお婆ちゃんのやり方があるから、
これ以上聞くと、怒られそうだし。

まっいいか、

って、そん時は思ったんだぁ~……。


───あれから、

そうね、弟も無事に生まれて、今年、中学卒業だから、
もう十数年経ったんだね。

わたしはお婆ちゃんの家に久しぶりにやって来た。

弟が生まれてからは、お婆ちゃんは、
わたしの家に出向くようになったから、
お婆ちゃんの家には来ないようになっていた。

お婆ちゃんの家の玄関を開けて、わたしはリビングに入った。

不思議なくらい、あの頃となんにも変わってなかった。

ここだけ、時が止まっているように感じた。

お婆ちゃんのケチっぷりと厳しいところに、
嫌になっていた、あの頃が懐かしい。

リビングには、大きな古時計も以前のまま
変わらない姿で立っていた。

でも──。

残念ながら、振り子は動いていなかった。

存在感はあったけど、成長したわたしよりも、
まだちょっとだけ大きい古時計は、
ただ“シーン”と静かに立っていた。

毎日、大切に磨いていたのだろう、
時計は姿形は古さを物語っているけど、
表面の輝きは、新品のよう、
ううん、新品にはない、なんていうか、
趣ってのを感じさせられるような輝きがあった。

「お婆ちゃん、本当に大切にしていたんだなぁ」

わたしは時計を眺めて、少し笑った。

「おや、来てたのかい?」

「あ、お婆ちゃん」

お婆ちゃんが、廊下の扉を開けてリビングの中へ入って来た。

「すまないね、呼び出して」

「ううん、全然平気だよ」

お婆ちゃんは、杖を突きながら、
ちょっとずつ足を動かして近づいて来た。

「もう、すっかり歩くのが辛くなってねぇ」

そして、時計の前に立った。

「この通り、時計を動かすのも、無理になっちまったよ」

お婆ちゃんは悲しそうな表情で時計を見ていた。

「わたしが動かすよ、やり方教えて」

わたしは近くにあった、椅子を運んで来た。
お婆ちゃんが時計を操作するときに使っていた椅子だ。

お婆ちゃんは丁寧に時計の動かし方を教えてくれた。

“コツ、コツ、コツ、コツ”

振り子が振れ始めると、あの時と同じ音が時計から聴こえて来た。

「スゴーイ、あの頃と同じ音だぁ」

わたしは遠い記憶を思い出してた。

そんなに長くこの家に住んでいた訳では無かったけど、
お婆ちゃんと過ごした日々は、なんか強烈な思い出として残っていた。

「そうだ、お婆ちゃん」

あの頃、聞きたかったけど聞けなかったことを、
お婆ちゃんに聞いてみた。

「どうして、この時計、こんなに大切にしてるの?」

いくらケチなお婆ちゃんでも、なんかこの時計だけは
違う理由があるように思えたから。

するとね、お婆ちゃんは

「おや、言ってなかったかい」

って、言ってから、少し笑みを浮かべてね、

「コレはね、お爺ちゃんがオレたちの結婚記念だ、
 って言って買った時計なんだよ」

「えっ!」

わたしはちょっと驚いた。

そんな、ロマンチックな話がお婆ちゃんから聞けるなんて!

驚いたのが、顔に出ていたのか、

「そんなに驚くもんじゃないよ、まったくぅ」

と言ってから、お婆ちゃんは照れくさそうに

「お爺ちゃんはね、一緒に、時を刻もう、って、言ってたんだ」

「へーぇ、お爺ちゃん、ステキなこと言うねぇ」

わたしは、ただただ感心して時計を眺めて、

「それで、こんなに大切にしてたんだね」

「そう、これが動いてると、まだ、お爺さんと
 時を刻んでるような気がしてねぇ……」

「ふーん……」

お婆ちゃんとわたしはしばらく黙って、時計を眺めていた。

“コツ、コツ、コツ、コツ”

「ねぇ、お婆ちゃん、止め方も教えて」

「え?」

「歯車を傷めないように、これからわたし毎日ここへ、
 動かしたり止めたりしに来る、だから止め方も教えて」

「おぉぉ、そうかいそうかい、それはありがたいねぇ」

お婆ちゃんはとびっきりの笑顔で喜んでた。

子どものころは、厳しいお婆ちゃんだと思ってたけど、
今はとても、愛おしいわたしのお婆ちゃん。

これからは、毎日、ここで会えるのが楽しみです。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 おばあさんの時計 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/03/05c.html



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


聞いてみないと分からないこと、って多いですよね。

今回のお話でも、お婆ちゃんにあんなロマンチックなことが
あったなんて、聞いてみないと知らないままで終っていた
ことでしょう。

人って、ついつい私(自分)のことを他人は
ある程度理解しているって思いがちなんですよね。

でも他人は基本的に私のことなんて、なにも分かっていない。

何十年も一緒にいる夫婦だって、初めて気づくこともある。

長年の付き合いの友だちに、
意外な面があることに驚くときもあります。

ましてや、先輩や上司など、家族や友人でも無い人が、
私のことを理解しているなんて、ありゃしません。

だから、自分が思っていることは伝え、
疑問に思ったことは聞かなければ、なにも分かりません。

案外、伝えたり聞いたりしたら、問題が解決されたりします。

分からないから不安になるし、知っていると思うから、
疑いたくもなる。

「伝える」「聞く」っていうのはとても重要なものなのだと
改めて思います。


今日のHappy♪ポイント

『 自分の気持ちを伝え、相手の気持ちに耳を傾けよう! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月11日月曜日

【日記】100円玉でなに買おう!

12月11日は『100円玉の日』だそうです。

福娘「366日への旅」
http://hukumusume.com/366/kinenbi/pc/12gatu/12_11.htm


たまたまですが、先週の土曜日更新のお話と繋がっているので、
日記に認めておきます。

その昔、100円玉1枚には夢がいっぱい詰まっていました。

100円玉を自販機に入れればシュースが買えた。

110円に値上がりしたとき、硬貨を2枚入れるのに
違和感があったのを覚えています。

100円玉をゲーム機に入れたら、家ではできない
キレイで迫力のあるゲームができました。

100円玉を高く積み上げて繰り返しゲームをしている人がよくいました。
ぬいぐるみも取れましたね。

今では、スマホでも遜色ないゲームができるので、
よっぽどでもない限り、ゲーム機には入れなくなりました。

その他にも、100円ショップに100円バーガー。

100円玉1枚だけでお釣りもなく、
やりとりできるものが結構ありました。

現在は消費税との兼ね合いでが、なかなか100円玉1枚で
買えるものは少なくなってきましたが、
でも、なぜかお財布の中に、こいつが1枚でもいると、
ちょっと安心します。

特徴ある「100」の文字。

感触がたまらないギザギザ。

これからも、財布の中で存在感を発揮しておくれ。

因みに、100円玉と言えば銀のイメージですが、
最初に出来た100円玉は銀貨でしたが、
現在のものは、白銅貨だそうです。

2017年12月9日土曜日

お金はお金を呼んで来る

あるところに退屈な人がいました。

退屈な人は、退屈なので、ボー、っとしていました。

ふと、この前、友だちが話していたことを思い出していました。

「お金を拾うと、嬉しいよね
 しかも、お金を呼んで来るって言うよ。
 1円玉を拾うと、5円玉を呼んで来て、
 5円玉は10円を呼んで来て、
 どんどん大きなお金を呼んで来るんだよ」

退屈な人は、少し考えました。

(お金を拾って嬉しいなんて、ホントかねぇ……
 お金を拾ったって、警察に届けに行かなきゃならないだけ、
 めんどくさいじゃないか)

退屈な人は、ちょっと律儀な人でした。

おもむろに、自分の財布を開けてみました。
なかには5円玉が1つありました。

それ以外、コンビニのレーシトがあるだけで、
お金は入っていません。

(今晩、何食べよう……)

退屈な人は、お金に縁がない人でもありました。

退屈な人は、ちょっとうなだれましたが、
気分転換にと、街へ出かけました。

お金は落ちてないかと、キョロキョロと目配りしながら歩きました。

でも、お金は見つかりませんでした。

試しに、自販機の返却口にも手を入れてみました。

すると、3つ目の自販機に100円玉が入っていました。

おっ!と、退屈な人は喜びましたが、

(これは拾ったと言えるのか?)

と、小首を傾げました。

律儀な退屈な人は、なにか罪悪感を感じたので、お金を返そうと、
100円玉を自販機に入れて、電気がついた飲み物を買いました。

80円の飲み物が買えたので、20円のおつりが出てきました。

(おぉ、なんか得した気分)

20円をとろうと返却口に指を入れました。

“チャリ―ン”

取り損ねた10円玉の一枚が地面に落ちてしまいました。

10円玉はコロコロと転がっていきました。

退屈な人は手に持っている10円玉と飲み物をポケットに入れ、
転がっている10円玉を取ろうとしましたが、
そのまま転がって、自販機の下に入ってしまいました。

(あーぁ)

退屈な人は、一瞬、あきらめようとしましたが、
気になったので、屈んで自販機の下を覗きこみました。

自販機の下はうす暗く、目をこらして見ると、
土やら埃やらがいっぱいです。

(きたねー)

さらに目をこらすと、10円玉らしきものが見えました。

その横にはもう一個10円玉のようなものが見え、さらにその横には、
銀色に光る硬貨のようなものも見えました。

(あれは、もしかすると100円玉!)

退屈な人はトキメキましたが、

(イヤ、待てよ、100円玉だと思って取り出すと、
 50円玉だったことなんて、よくあることじゃないか)

後でガッカリしないように、あれは50円玉だ、
と、思うことにしました。

なにせ退屈な人はお金に縁のない人でもありますから、
そんな想像をしてしまうのでした。

でも、どうやって取ればイイ、と退屈な人は悩みました。

試しに、手を入れてみましたが届きそうにありません。

その後も、這いつくばり、自販機の下をのぞきこみました。

(あっ、)

退屈な人は、今いるところが街の中だということを
急に思い出しました。

街で、這いつくばって自販機の下をのぞく恥ずかしい人に
自分がなっていることに気づき、慌てて立ち上り、
周りを見ないように早歩きで立ち去りました。

そして、近くの建物の陰に隠れました。

ふり返ると、さっきまでいた自販機が見えます。

(あの下には、10円玉が2枚と50円玉がある。
 70円あったら、コロッケ一枚くらいは買えるだろう。
 もし、100円玉だったら……)

退屈な人は“ブルンブルン”と頭を振りました。

いらぬ想像はしちゃダメだ。

それよりも、どうやって取るかだ。

と考えながら見ていると、自販機の前に、
二人の少年がやって来るのが見えました。

(おや? 少年、棒を持ってるぞ)

少年二人は、おもむろにしゃがみ込み、
持っている細長い棒を自販機の下に入れました。

(あいつら!)

退屈な人は建物の陰から慌てて飛び出しました。

少年たちは棒を上手く使い、あっさりと自販機の下から
お金を取り出して、走り去ろうとしていました。

「待て!」

退屈な人は思わず声を上げました。

「やべぇ!」

少年たちは慌てて逃げました。

慌てていたので、せっかく取ったお金を一枚落としてしまいました。

“チャリ―ン”

(あ、あれは!)

退屈な人は、ちゃんと見ました。

少年たちが落とした銀色したお金は、コロコロと転がっています。

退屈な人は、慌ててお金を追いました。

お金は、コロコロと転がって、今度は、
何人か座れる横長のベンチの下に入っていきました。

退屈な人は、すぐにしゃがみ込みました。

ベンチの足の下に、確実に銀色したお金がありました。

(よし!)

退屈な人は心の中で声を上げました。

すると、頭の上の方から声がしました。

「てめぇ! 何してやがんだ!」

退屈な人はスゴイ力で、グイッと引っ張り上げられました。

目の前には、男の人の顔があり、とても怖い表情をしています。

「てめぇ、オレの彼女の前に屈みこんで何する気だ!」

退屈な人は横目で見ると、さっき自分が屈んでいたベンチに、
スカートをはいた女の人が座っていました。

退屈な人は慌てて、

「誤解です、誤解、ボクはただぁ」

と、言い訳しようとすると、ドン、と突き飛ばされて
後ろへ倒れ込みました。

「イテテテテ」

退屈な人がお尻の辺りをさすっていると、
女の人が立ち上がり「ほっとこう」と男の人を引っ張って、
歩いて行ってしまいました。

男の人は、不服そうにこちらを見ています。

(な、なんなんだぁ……)

退屈な人は、混乱しながらも、ちょっとホッとしました。

そしてすぐに体勢を変えて、ベンチの下をのぞきました。

ベンチの足の下に銀色のお金があります。

取るにはベンチを動かさなければなりません。

座っていた女の人もいなくなったので、
退屈な人はベンチを横から力を込めて押しました。

“ズズーッ”

ベンチは、ちょっと横に動きました。

退屈な人はすぐに、ベンチの下を確認しました。

そして、

「おぉぉぉぉぉぉ!」

と、思わず叫んでしまいました。

そこには銀色に輝く100円玉がありました。

退屈な人は、100円玉をありがたそうにとりました。

「おぉぉぉぉぉぉ!」

100円玉をまじまじと眺めて、

(なるほど、お金を拾うと、確かに嬉しいね)

と、涙をこらえながら、心からそう思いました。

「ちょっと、キミ、キミ」

誰かが退屈な人の肩を叩きました。

声のした方を向くと、そこにはお巡りさんがいました。

気付けば二人のお巡りさんに囲まれています。

「何しているんだい?」

お巡りさんに質問された退屈な人は、

(怪しい行動ばかりしてたから、
 お巡りさんに目をつけられちゃったのかな?
 でも、ちょうどいいや)

と、思い言いました。

「お巡りさん、ベンチの下から、お金拾いました」

律儀な退屈な人は、100円玉をお巡りさんに手渡しました。

お巡りさんは100円玉を受け取ると、

「それはご苦労様です」

と言いながら、ポケットから財布を出し、中から
100円玉を出して手渡してくれました。

そして、お巡りさんは一言二言注意を言って
去っていきました。

退屈な人は、フーゥ、と息を吐いてから、
手渡された100円玉を手に乗せて、ポケットの中から、
自販機から出たおつりの10円玉を出して並べました。

(本当に呼んで来るんだな)

退屈な人は手のひらを閉じて握りしめると、
先ほど買った飲み物を開けて一気に飲みほしました。

そして、手のひらに110円を握りしめながら、
近くのコンビニに入っていきました。

手にしたお金はすぐに手放す主義の退屈な人に、
本当のお金の縁が巡ってくるのはまだ先のようです。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 やっとわかった 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/03/04.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


もとの話はとてもシンプルですが、童話でHappy♪では、
だいぶ創作してしまい、もはや童話でもない内容に
なってしまいました。

このお話で伝えたいことは、小さなチャンスでも、
追い続けて行けば、最後にはきっといいことがある、
ということです。

『成功とは成功するまでやり続けること、
 失敗とは成功するまでやり続けないこと』

経営の神さま、松下幸之助さんの言葉です。

このような言葉をいう偉人たちは大勢います。

しかし、そう言う偉人たちは、結果として成功しているから
そう言えるのであって、本当になんでもかんでもやり続けてたから
成功するのかといったら、怪しいな~ぁ、とも思えてきます。

そもそも、1つのことをやり続けることが苦手な人は
けっこういると思います。

わたしなんて、まるっきりそんな人間なのですが、
そんなわたしでも、唯一、長く続けられていることがあります。

それは、

生きること。

生きてることだけは、なぜか、ずっとやれています。

こんなに、なにをやっても長続きしないわたしがです。

自分でも驚きです。

つまり、偉人たちの言葉が本当なら、
生きていれば、必ず、成功する!

ハズです。

きっとあなたも同じです。

生き続けられていることは、最早チャンスです!

『 生きてるだけでまる儲け 』

お笑い怪獣 明石家さんまさんの言葉です。

偉人たちの言葉を、ちょこっと信じて、楽しみにしながら、
これからも、わたしは生きていこうと思います。


今日のHappy♪ポイント

『 生きていることだけは、長続きしてるね 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月7日木曜日

【日記】秘密基地を作るゲーム

【お題】はじめてやった「プレステのゲーム」なに?


「AⅣ」でしたね。

鉄道会社を育成するゲームです。

とてもハマりました。

全線黒字化するのが好きでした。

醍醐味はマップの殆どを開発した状態で、
マップの外周を囲む環状線を作ること。

線路を引きたくても他社の不動産物件なんかが邪魔をして、
うまく駅を拡張できなかったり、大変な思いをするのですが、
それでも微調整したり、あり得ない線路の通し方をしたりして、
一周、電車で回れるようにするんです。

おかげで、地下にもぐったり、物凄い高さの高架橋を通ったりして、
いろんな風景が楽しめました。

全線開通したあとは、3D画面にして、
ボケーっと眺めていました。

何度見ても飽きませんでしたね。


話しは変わり、プレステで一番好きなゲームと言えば、

「AZITO」です。

元祖ディフェンスゲームとも言うべき金字塔
と、私は勝手に思っています。

地下に秘密基地を作って、襲ってくる敵をやっつける
というゲームです。

TheTOWERの地下秘密基地版といった感じで、
テナントの代わりに、敵をやっつける罠や、
洗濯ルームの代わりに、指令室などを作っていきます。

秘密基地なので、正義の味方のようなヒーローも存在します。

続編では、版元から権利を得て、
テレビでお馴染のヒーローを使えるシリーズも発売されました。

とにかく、少年の心をくすぐるゲームでした。

(私は大人になってからプレイしましたが……)

スマホでもやりたいのですが、いつまでたっても出てこない。

淋しいです……。

と、プレステの話題だったので、書いてきましたが、
私は生粋の「メガドライバ―」だったので、
当時は「セガサターン」ばかりやっていました(^^;;

うれしいことが起こらない訳

今日は、どうして「うれしいこと」ってあまり起きないか、
お話するね。

むかしむかし、人間にうれしいことをいっぱい授けてくれる
「ウレテンシ」という天使が人間のすぐそばで
たくさん生活していたんだ。

ウレテンシはね、人間にうれしいことをいっぱい授けて、
そのとき人間がだす、愛情とか優しさとか笑顔とかから、
パワーをもらって生きていたんだ。  

ところが、そこへウレテンシと同じような姿をした
「ワルマン」っていう悪魔がやって来たの。

姿こそワルマンはウレテンシに似てたけど、
ウレテンシとは真逆で、人間がイヤがることばかりする、
イヤな奴なんだ。

ワルマンは人間がイヤがっているときに出す、
怒りとか僻み(ひがみ)とか嫉妬(しっと)とかから
パワーをもらって生きているんだ。

ウレテンシたちとワルマンたちは、しばらくは人間のそばで、
一緒に生活してたんだけど、真逆の性格をもっていたから、
すぐにケンカになっちゃったの。

戦いが好きなワルマンたちはすごくケンカが強いから、
戦うことが苦手なウレテンシたちは
あっという間に負けちゃったんだ。

勝ったワルマンは、人間のそばにはオレたちが住む、
と言って、ウレテンシたちを追い出しちゃった。

先に住んでいたのはウレテンシたちなのに、
ヒドイ話しだよね。

住んでいたところを追い出されちゃったウレテンシたちは、
天国にのぼってね、神さまに会いに行ったの。

そして神さまに、ワルマンたちに
追い出されてしまったことを伝えて、
人間のそばに戻して欲しいって頼んだんだ。

そしたら神さまがね、こう言ったんだよ。

「ウレテンシ、おまえたちの言い分は良く分かった。
 ただなぁ、おまえたちが人間のそばに戻るのは、
 ちょっと難しいかもしないな」

人間のそばに帰れないと聞いて、ウレテンシたちはおどろいた。
なかには泣き出すウレテンシもいたんだよ。

たくさんのウレテンシが「なぜなのですか?」
と神さまにたずねるとね、

「人間たちの多くはな、ワルマンの好物の怒りとか
 僻みとか嫉妬とかが大好きなんじゃ」

神さまの答えに、ウレテンシはまたビックリしたよ。

だって人間たちは、ワルマンの好物が好きなんでしょ。

それって、ワルマンたちの方が私たちより好きってことじゃない?

信じられないよー、

と、ウレテンシは困惑した表情で、頭を抱えちゃった。

神さまは続けてこう言ったよ。

「でもな、中には、おまえたちウレテンシの好物の
 愛情や優しさや笑顔が大好きなものもいる。
 うれしいことを授けるために、おまえたちが
 人間のそばに行くことは必要だ」

ウレテンシたちは大きく頷きながら、
神さまの話を聴いたよ。

「だが、人間のそばにはワルマンが居座って、
 人間が発する怒りやら僻みやら嫉妬やらを吸収して、
 どんどん力を蓄えている。
 おまえたちが一緒にいても、すぐに虐められて、
 逃げるしかなくなるだろう」

神さまの話を聴いていたウレテンシたちは、
どんどん悲しい表情になっていったんだ。

このまま、ワルマンに邪魔されて、
私たちは人間にうれしいことを授けてあげられないの?

そう考えたウレテンシを神さまは見捨てなかったよ。

「そこでじゃ、これからはおまえたちは、ここに住むがよい」

ウレテンシたちの表情が少し明るくなった。

神さまは続けます。

「ここから人間たちをながめて、愛情を持っている人間、
 優しさを持っている人間、笑顔を絶やさない人間を観察して、
 それらを持っている人間のところに、みんなで行って、
 うれしいことを授けて、ワルマンに見つかる前に、
 ここへ戻ってくるとよい」

ウレテンシたちは大きく頷き喜んだ。

拍手をするもの、両手を上げるもの、
となりどうしだきあうもの
その表情には満面の笑みが浮かんでいたよ。

こうして、ウレテンシたちは、神さまがいる場所から、
私たち人間を観察するようになったんだよ。

人間のそばにはワルマンばかりがいるようになったから、
イヤなことばかり起こるようになったの。

でも、たまに、ウレテンシが遠くの空からやって来て、
うれしいことを授けてくれるんだよ。

うれしいことがたまにしかないのはそのためだよ。

ウレテンシたちはたまにしか来れないからね、好物の
愛情や優しさ、笑顔を持っている人のところへ集まっちゃうんだ。

だから、ウレテンシが来るように、
みんなもウレテンシの好物を準備しておこうね。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 (うれしい事)と(嫌な事)たち 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/aesop/03/02.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


世の中、辛いことが多いですよね。
嬉しいことなんてそうは起こらない。

今回のお話では、イソップ的に理由づけがなされていますが、
実際はどうなんでしょう。

上座仏教の長老アルボムッレ・スマナサーラさんは著書で、

“生きることは苦である”

と言っています。

上座仏教の世界では、人生は苦の連続だから、
「人生は楽しい!」というのは妄想だと言います。

苦を取り除こうとしても別の苦がやってくる。

例えば、遠くまで行くのに、何日もかけて歩くという苦を
取り除こうと自動車を作ったのはいいけれど、今度は、
排気ガスの問題やエネルギーの問題という苦がやってくる。

子どもが欲しいのに出来ない、と苦がある夫婦に
子どもが生まれると、今度は子どもの心配をしたり、
自分の自由が奪われるといった苦がやってくる。

こんな感じです。

上座仏教は、結構、ズバズバ言ってくるので、
耳に痛いこともありますが真理をついているように思えます。

お釈迦さまやイソップが言うように、人間の周りには、
悪いことや苦がたくさん待ちかまえているようです。

それだけに、

ちょっとした

”イイこと”
”嬉しいこと”
”楽しいこと”
”幸せなこと”

があったら、大切に大切に、しみじみと、
たーんと! 味わっちゃいましょう。

車で快適のドライブ、あー気持ちイイ!!
子どもと遊んで、笑顔が見れて、幸せ!!

そんな風に。


今日のHappyポイント♪

『 少ない喜びを、大げさに味わっちゃおう!! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


2017年12月5日火曜日

【日記】血液型には性格を決めるなにかがある?

【お題】献血したことある?


高校生のころに2回くらいしたような気がします。
私は“B型”です。

血液型と性格は一切関係ない!

というのが、医師や心理学者の主な結論ですが、
それを前提として、これから先を読んでください。

学校に献血センターのバスがきて、
それぞれの血液型に分かれて採血されました。

A型とO型は人数が多いので、それぞれ1台のバスに入り、
B型は同じく人数が少ないAB型と同じバスで採血しました。

バスの中に入ると、ベットに横になり、血を抜かれながら、
「痛てー!」とか「クラクラする~」とか声を出している人がいます。

「ヤクルトくれるよ」と話しかけてくる人に
「俺、2本もらっちゃおうかな」とお茶らけている人もいます。

とにかく、バスの中はとても賑やかでした。

他の血液型のバスの中に入ったことがないので、
中の様子を知るには他の血液型の人から話を聞くしかありません。

私が聞いた人はとても少ないのであてにならないかもしれませんが、
普通に静かだよ、という答えが多いです。

どうも、バスの中が賑やかなのは、B・AB型のバスだけのようです。

採血をするお仕事をしてるかた、そのへん、どうなのでしょう?
お話を聞いてみたいです。

そして、あなたも是非、まわりの人にも聞いてみてください。

血液型が性格を決めることは無い、と専門家は言いますが、
どうしても、私は、血液型には性格を決める
なにかがあるのではないか、と思っています。

2017年12月2日土曜日

忘れな草

「危ないよ! やめなよ」

女の子は叫びました。

「大丈夫だよ、すぐ採ってくるから」

男の子は笑顔でそう言いました。

二人は大の仲良しで、今日は近くの山へ遊びに来ています。

崖に囲まれた場所で二人は話をしています。

「すぐって、崖の上だよ、どうやって登って行くの?」

「大丈夫さ、力には自信があるから」

男の子は力こぶを見せました。

今からほんの少し前のことです。

二人が山を歩いていると、崖に囲まれたところにたどり着きました。

「わぁ、可愛い花が咲いてる」

女の子は崖の中腹あたりを見つめて言いました。

男の子は目をキラキラさせている女の子の横顔から、
目線を崖の中腹にうつしました。

「ホントだ、キレイだね」

そこには、小さな青い花がありました。

崖の頂上から落ちる滝の側で、小さな体に青い花をたくさんつけて、
健気に咲いています。

「ボクが採ってくるよ!」

「ダメだよ、危ないよ、落っこちたらどうするの?
 下は流れの速い川よ」

崖の頂上から滝が流れ、川は、ザアー、ザアーと
音をたてて勢いよく流れています。

「平気だよ、泳ぎには自信があるから」

泳ぐ真似をしている男の子に、女の子は近づいて力強く言いました。

「ダメよ、イイ、よく聞いて───」

女の子は、男の子の両腕を掴み、
ギュッ、っと力を入れて握りしめました。

「もう分かった、分かったよ、痛いから、腕、離してよ」

「行かない?」

「うん、行かない」

男の子が神妙な顔で言ったので、女の子は手を離しました。

すると男の子は、

「へへへへーッ」

と、いたずらっぽい声を上げきびすを返すと、
あっという間に崖を登り始めました。

「もう、やめなって言ってるのに!」

そう言う女の子の言葉が聞こえないかのように、
男の子は滝の水しぶきを浴び、びしょびしょになりながらも、
崖をよじ登っていきました。

女の子は落ちないかと心配で、
手を祈るように組んで見つめています。

男の子が少し登ったところで足を滑らせました。

「キャッ」

女の子は小さく悲鳴を上げました。

男の子は体勢を整えて、

「大丈夫!」

と笑顔を女の子に向けました。

そして男の子はなんとか青い花に手が届くところまでよじ登り、
手を伸ばし花を掴むと、女の子に向けて手を上げました。

女の子の表情が少し明るくなりました。

「あっ、」

一瞬の出来事でした。

男の子の右足が濡れた石で滑り行き場を失いました。

花を持つ手を高く上げていたので踏ん張れず、
バランスを崩した男の子の体は、
そのまま真後ろに倒れて行きました。

女の子は息をのみ、体を硬直させました。

そして何もできず、後ろ向きに落ちていく男の子の姿を、
ただ呆然と眺めていました。

女の子には、時がゆっくりと動いているように感じました。

ゆっくりと落ちていく男の子。

女の子の耳には何も入って来ず、とても静かでした。

静かに落ちていく男の子。

落ちていく男の子を、ただただ見ていると、
ふと男の子は女の子の方を向きました。

そして男の子は笑みを浮かべて言いました。

「受け取って」

男の子の手から青い花が投げられました。

ゆっくりと、弧を描いて飛んでくる青い花に
女の子は手を伸ばしました。

青い花は、ゆっくりと女の子の手の中に降りてきました。

女の子は青い花を静かに手に乗せると、
愛おしむかのように、優しく包みました。

“バシャーン!!!!!”

男の子の体は、川の中に落ちました。

女の子は “ハッ” として、慌てて男の子に近づきます。

男の子は顔を出し、片腕を大きく上げていました。

川の流れが速く、男の子の体はどんどん女の子から離れていきます。

女の子は、流される男の子を追いかけました。

石だらけで足場が悪い地面につまづきながらも、
必死に女の子は走りました。

しかし、追いつけません。

女の子の耳には、ゴーッ!ゴーッ!、
という川の音だけが聞こえました。

それは男の子を飲み込もうとしている
荒々しい生き物の叫び声のように聞こえました。

「イヤーッ!」

思わず女の子は叫び声を上げました。

すると、流されながら男の子が言いました。

「ボクのこと、忘れないで……」

川の音で消え入りそうな男の子の声を、
女の子は必死で聴こうとしました。

男の子はどんどん川に流されていきます。

それでも必死にもがき顔を出しました。

女の子も男の子から離れないように走っています。

男の子の顔は川から出たり入ったり繰り返しています。

女の子は、男の子を絶対に見失わないよう目をこらします。

男の子はなんとか川から顔を上げて、女の子の方を向きました。

女の子は男の子の目をしっかりと見つめました。

男の子も女の子の視線をしっかりと受け止めました。

そして男の子は消え入るような声で言いました。

「───大好きだよ…」

川の音に邪魔されず、女の子に、はっきりと伝わりました。

そして、それが女の子が聴いた男の子の最後の言葉になりました。

女の子は一生懸命走りました。

男の子を見失わないように目をこらしました。

しかし、追いつけぬまま、
男の子の体は、ついに見えなくなってしまいました。

女の子はその場にしゃがみ込みました。

そして、女の子は一言、呟きました。

「私も、大好きだよ」

両手には青い花が握りしめられていました。



「さっきまで、二人であんなに楽しく山を歩いていたのに、
 なぜ、どうして、こんな、こんな……。
 と、女の子は涙をこぼしました」

と、女の子は言ってから、

「って、こんな悲しいお話が出来上がっちゃったら、
 どうするのよ!」

女の子は握った手に力を込めて男の子に向かって言いました。

二人は崖に囲まれた滝の近くにいました。

「痛いよ、分かった、分かったよ」

男の子は、両手を引っ張られ、嫌そうに言いました。

「ホントに?」

女の子の真っすぐな視線を向けられ、男の子は少し視線をずらして、

「うん」

と、頷きました。

女の子は、ジーッと、男の子の目を見てから、
手を放しました。

男の子は解放された手を擦りながら、

「ったく、相変わらず物語作るのが好きだな、小説家にでもなれ」

女の子はニコッと笑うと、

「じゃっ、いこ」

と言って、今度は優しく男の子の手を繋ぎました。

男の子は女の子に引っ張られ歩き出しました。

ふと、崖の花を見上げました。

男の子は、崖に咲いている青い花を眺めながら、
ふとあることに気付きました。

「あ、」

「どうしたの?」

不思議そうに尋ねる女の子に、男の子はニッコリ笑い、

「ううん、別に」

「変なの」

と、プイっと向こうを向いた女の子の後ろ姿に、
男の子は小声で呟きました。

「ボクも好きだよ」

「え? 何?」

ふり返った女の子に、

「なんでもない!」

男の子は笑顔で言って、

「へへへへーッ」

と、いたずらっぽい声を上げ、女の子を抜いて先に走り出しました。

「もう、待ってよ」

二人は崖に囲まれた場所を後にして、
楽しく山を降りていきました、とさ。


おしまい。



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆自己啓発もHappy♪☆


今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 忘れな草 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/02/27.htm


チャンスだと思っていたのに、
うまく生かせなかった経験ありませんか?

そういう経験って、後悔として残っちゃったりするんですよね。

あの時「こうしてればなぁ~」とか
「こうなってたらな~ぁ」とか。

この物語の男の子も、女の子にいいところを見せられるチャンスだと
思ったのに、女の子から止められてチャンスを逃してしまいました。

でも、チャンスを逃したように思えても、いい方に進んでいることを、
この物語を読んだあなたは分かっているハズです。

自分では、チャンスだと思っていることって、自分の思い込みで、
実は、チャンスですらなかったのかもしれません。

それを生かせなかったと、後悔しているなんて、
もったいない話です。

「なるようにしかならない」

人生を悟ったような人がよくそう言いますが、
本当に、そうなのかもしれませんね。


今日のHappy♪ポイント

『 すべては、なるようになった、それだけです。 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/