※しばらくの間、童話の更新は週1回(土曜日の夜)のみになりますm(_ _)m

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年10月7日土曜日

どっちもどっちな大工と客

昔々、家具を手作りする大工さんがいました。

ある日、こまかなちょうこくを入れた材木を、
かんなでキレイにけずっているときにお客さんがたずねてきました。

「ごめんよ」

「いらっしゃい!」

お客さんは、二日前に、壁(かべ)に棚(たな)を
取り付けた家のだんなさんでした。

「この間、取り付けてもらった棚だが」

「へい、気にってもらえましたか?」

「気にいったもなにも」

お客さんはしぶい顔になり

「今朝、こわれちまったよ」

「なんですって!」

大工さんはビックリです。

りっぱな棚を作り、壁にしっかりと打ち付けて来たので、
こわれるハズがありません。

大工さんは少し考えてお客さんに言いました。

「まさか、お客さん、あの棚の上に、
 なにか乗せたんじゃないでしょうなぁ」

今度はお客さんがビックリしました。

「本を乗せたよ、棚なんだから、なにか上にのせるのは当然だろ!」 

「もう、お客さん、上にものをのせるならそう言ってくれなきゃぁ、
 そしたらもっと作りようがあったのに、だいたい、あの──、」

と、大工さんがそこまで言うとお客さんは、

「言いわけは聞きたくない!
 お金をはらってんだから早く家に来て直せ!」

と、どなり声を上げました。

大工さんは申しわけなさそうな顔をして、すぐにお客さんの家に行き、
がんじょうな棚を作り直し壁に打ち付けました。

数日して、また同じお客さんがたずねてきました。

「あ、お客さん、棚の調子はどうです、
 今度はビクともしないでしょう?」

するとお客さんはしぶい顔をして言いました。

「ビクともしないもなにも、またこわれてしまったよ」

「なんですって!」

大工さんは、またビックリしました。

「お客さん、確か本を乗せるって言ってらっしゃいましたよね」

「あぁ言ったよ、だから本を乗せた、そしたらこわれた」

「おかしいなぁ、本を乗せられるように作ったのに、
 こわれてしまうなんて……」

大工さんはうでを組み、頭をひねりました。

「お客さん、まさかとは思いますが、
 本を何冊も乗せたんじゃないでしょうねぇ」

「乗せたよ、全30巻」

「それだぁ、そんなに乗せたら、こわれちゃいますよ」

「そんなに、って、じゃ何冊までなら乗せられたんだ?」

「そんなの、1冊に決まってるじゃないですか」

またもやお客さんはビックリしました。

「本1冊だけ乗せるなら、棚なんて作ってもらわんよ!」

「そうは言いましてもねぇ、お客さん、そもそも──、」

と、大工さんが言うとお客さんは、

「言いわけはいいから、今すぐ丈夫でこわれない棚に作り直せ!!」

と、どなり声を上げました。

「わ、分かりました」

大工さんはこまった顔をしながら、お客さんの家に行き、
がんじょうでりっぱな棚を作りました。

もちろん、お金はもらわずに。

今度は大丈夫だろう、と大工さんが思っていると、
二日もしないうちに、またお客さんが現れました。

「お客さん、今度こそ棚はこわれてませんよね」

「おっおう、棚は無事だ」

「それは良かった!」

大工さんは大喜びしました。

すると、お客さんはうかない顔で言いました。

「棚は丈夫に作ってもらったから無事なんだけどな……」

「はい」

「棚を打ちつけられた壁がこわれてしまって、
 外が丸見えになっちまったんだ」

「あれまぁ~」

大工はおどろいて、すっとんきょな声を上げました。

そしてあわれな表情をしながら、

「お客さんが言う通り、30巻の本が乗る丈夫な棚を
 作りましたからねぇ、その重さに、壁がたえられなかったん
 でしょうなぁ。同情いたしやす」

「あのな、そこでお願いしたいんだが」

「なんでしょう、ってお客さん、
 壁を直せっていうんじゃないでしょうねぇ」

「いや、あの、そう、壁を直してくると、ありがたいのだが」

「お安いごようですよ、あたしゃぁ、大工ですから」

「良かった」

「では、壁の修理代をいただきます」

と、大工は右手をお客さんの前に出した。

「ん? お代を取るのか」

「はい、棚のお金しかもらっていませんからね」

「お前が、棚をがんじょうに作ったせいで、壁がくずれたのにか?」

そう言われて、大工さんは堂々と言いました。

「それを作れとおっしゃったのはお客さんの方です。
 私は、あの壁では、棚と本1冊分くらいしか支えられない
 と思っていたのですが、お客さんがどうしても言うので
 仕方なく丈夫な棚を作ったしだいです」

「おまえ、それを知っていて、なんで言わなかったんだ!」

「あたしゃ、何度も言おうとしましたよ、言おうとしましたが、
 そのたびに「言いわけはいい」ってお客さんがどなり声を上げて
 聞いてくれなかったんじゃないですかぁ」

「そっ、それは……」

お客さんは、ハァ~、と大きなためいきをつきました。

そして、壁の修理代を大工さんに払いました。

「毎度あり」

と、大工さんは笑顔で言って、
大工道具を持ってお客さん家に向かいましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 たな 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/kobanashi/01/20.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


あなたはコミュニケーションをうまくとれている人ですか?
私は苦手な方なので、うまくとっている人がうらやましいです。

今回のお話では、大工さんもお客さんもどちらかが、
ちゃんとコミュニケーションをとれる人だったら
こんなお話にはならなかったハズです。

コミュニケーションをとることを難しいと感じる人は多いと思います。

日本に出回ってる心理学や自己啓発と呼ばれるものの大半は、
いかにコミュニケーションを上手にとるかが焦点になっています。

逆に言えば、それだけにコミュニケーションを上手に取る方法は
たくさんあるんです。

でも、なかなか上手にとれるようにならない、という現状。
なんとも歯痒いですね。

ここでは、そんな歯痒い思いをしながらも、
私が心掛けている方法を2つ紹介します。

「言いたいことは素直に言う」

自分が言いたいことを、すべてを言う必要はありませんが、
言わないで後悔しそうなことがあったら、
おもいきって、言っちゃおう、ってことです。

今回のお話なら、大工さんは、お客さんが怒鳴ろうとも、
壁が壊れちゃうことを、ちゃんと言えばよかったんです。

もう1つ

「人の話はよく聞く」

とっても当たり前の話ですが、これができる人って本当に少ないです。
今回のお話のお客さんのように、この世の中、
他人の話は聞かない人ばかり、と言っても言い過ぎではありません。

なので、人の話を聞けるような人は、
それだけで1ランク昇格間違いなしです。

この2つを心掛けるでけでも、少しはましな
コミュニケーションをとれるようになるハズです。

お試しアレ。


今日のHappy♪ポイント

『 ちゃんと発言し、ちゃんと聞く 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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