※しばらくの間、童話の更新は週1回(土曜日の夜)のみになりますm(_ _)m

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年10月28日土曜日

タヌキの恩返し

むかしむかし、山深いところにある森の中に、
年老いたタヌキが住んでいました。

タヌキは若いころ、人間が仕掛けた罠につかまり、
命を失いそうになったことがありました。

その時、男の人が通りかかり、
かわいそうだ、と助けてくれました。

男の人はおばあさんと二人で暮らしていました。

男の人はおばあさんの息子さんのようで、
二人は、いつも優しそうな笑顔で暮らしていました。

タヌキは助けてもらったことに感謝して、その家のそばに住み、
家や畑に悪さをしようとする、イノシシやキツネを体をはって
追い返すようになりました。

そうして何年かたった後、その男の人は、
病気で亡くなってしまいました。

タヌキは悲しみましたが、それ以上に、息子を失った
おばあさんは悲しみ、すっかり元気がなくなってしまいました。

おばあさんから優しい笑顔は消え、肩を落として背中を丸め
落ち込んだ日々が続きました。

若かったタヌキも、いつしか年をとっていました。

人間より、タヌキのほうが長く生きられません。

そろそろあの世へ旅立つ日が近いことが、
自分でも分かっていました。

タヌキは神さまにお願いしました。

「死んでしまう、一週間前に、どうか人間の
 姿に変えてください」

タヌキは、一週間でいいので、
お婆さんを元気づけたいと思ったのでした。

ある日、タヌキは目覚めると、手にも足にも毛が生えておらず、
人間の着物まで着ていました。

自分が人間の姿になったことに気付いたタヌキは、

「神さま、ありがとうございます」

と、神さまに感謝しました。

タヌキは、早速、おばあさんの家に行きました。

「おばあさん、こんにちは、私は、庭師です。
 これから一週間、無料で庭の手入れをさせていただきます」

タヌキがそう言うと、おばあさんはしわくちゃな顔を、
もっと、しわくちゃな笑顔にして、

「まぁ、なんてありがたい話だろうね、
 息子が死んでからというもの、庭の手入れができなくて」

ありがたい、ありがたい、と手を合わせて人間の姿をした
タヌキに感謝しました。

タヌキは一生懸命、庭の手入れをしました。

ちょっと一休みをしていると、おばあさんがお茶と、
漬物を出してくれました。

そして、休んでいるタヌキの側に座り、
一緒にお話をしました。

息子さんの話、おじいさんの話、そしてこの森の話。

タヌキが一休みするたびに、嬉しそうに、
しわくちゃな笑顔を浮かべて、おばあさんは話しました。

おばあさんは、ずっと1人でいたので、
話し相手ができてよっぽど嬉しかったのでしょう。

タヌキも庭仕事をしながら、休み時間になると、
おばあさんの話を、相槌をうちながら楽しく聞きました。

一日が終わり、次の日、次の日と日は過ぎて行き、
あっという間に、一週間がたってしまいました。

タヌキが人間でいられるのは、今日が最後です。

そしてそれは、タヌキの命が終わることも意味しています。

タヌキはその日の庭仕事を終えたあと、
おばあさんに言いました。

「おばあさん、今日で、ボクの仕事は終わりです」

「おやおや、もう一週間がたっちまったのかのぉ」

おばあさんは、とても悲しい表情になりました。

タヌキは優しい口調でいいました。

「おばあさん、この一週間、私はおばあさんと話しができて、
 とても楽しみました」

「あたしも、楽しかったよ、息子が戻って来たみたいじゃった」

と、おばあさんは言ったあと、

「また、ちょくちょく遊びに来てくれんかのぉ」

タヌキは、少し驚いた表情になりましたが、

「ごめんなさい、もう、ここには来れないのです」

と、言ったあとで、

「実は、私は、ずっと前に、
 あなたの息子さんに助けられたタヌキなのです」

「え?」

おばあさんは、キョトン、とした表情をしました。

「だましていてゴメンナサイ!」

タヌキは頭を深々と下げて謝りました。

するとおばあさんは、優しい口調で言いました。

「おやまぁ、なんであんたが謝るんだい、
 あんたが誰だろうと、あたしはあんたに感謝しているよ、
 庭の手入れをしてくれて、あたしの話を聞いてくれて、
 本当に、ありがとう」

と、おばあさんは地面に座り、両手をついて深々とお辞儀をしました。

タヌキは慌てて、おばあさんの体に手をやり、

「おばあさん、体を起こしてください」

と言いました。そして、

「神さまに頼んだのです。死んでしまう一週間前に、
 人間の姿にしてくださいと。
 そして今日がその約束の日です」

「なんと、そうじゃったか、そうじゃったか」

と、おばあさんは顔をくしゃくしゃにして、
目からは、ぼろぼろと、涙がこぼれていました。

「おばあさん、どうか、お元気で」

タヌキはそう言うと、立ち上がりました。

立ち去ろうとしているタヌキに、おばあさんは静かに声をかけました。

「安心しな、すぐに、あの世で、会えるだろうよ」

驚いて、タヌキは振り向くと、おばあさんのしわくちゃで、
そして、優しい笑顔がそこにありました。

タヌキは、なにも言わず、とびっきりの笑顔を返して、
おばあさんの家をあとにしました。

帰り道、向こうの世界で、おばあさんと息子さんとの再会を想像して、
タヌキは楽しい気分になりました。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 友助タヌキ 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/minwa/01/27d.html



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


もとの話がいい話なので、それをもとに違った感じで書いてみました。

辛いことがあると、何もかも信じられなくなったりします。
周りは敵だらけと思うこともあります。

でも、落ち着いて見てみると、本当は敵なんていない。

逆に、あなたに悪いことをした、とか、あなたに感謝している、
という人の方が、意外と多かったりするんです。

この物語のような、小さな恩を忘れずに恩返ししてくれる
タヌキはなかなかいないかもしれませんが、
口にも行動にも出さないケド、感謝してくれている人は大勢います。

因みに、私は今日、コンビニで素敵な接客をされて、
その人に感謝の気持ちを持ちました。

でも、そのことをその人には伝えていません。
それと同時に、私は、その人の敵ではありません。

そして、ここまで読んでくれた、

あなたに、

わたしは、感謝しています。

ありがとう


今日のHappyポイント♪

『 みんな感謝されている! 』


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


0 件のコメント: