※しばらくの間、童話の更新は週1回(土曜日の夜)のみになりますm(_ _)m

≫≫≫ ☆ もくじ ☆ ≪≪≪

2017年10月14日土曜日

オオカミからにげる方法

「あ、キツネさんこんにちは」

ネコは森の中でお散歩している時に、
キツネを見かけたので声をかけました。

「やぁ、ネコさんこんにちは」

キツネはすました声でネコに答えました。

「今日も、いい天気ですねぇ」

ネコは頭が良くていろいろ教えてくれるキツネが大好きでした。

「そうだね、いい天気だね」

そうキツネが答えると、

「ちょうど良かった、キツネさんに聞きたいことがあったのです」

「おや、なんでしょう、ボクで良ければなんでも答えますよ」

キツネが優しい表情で言ったので、ネコはニコニコ笑顔で質問しました。

「私は、オオカミからにげる方法をこないだ1つだけ見つけたんです。
 キツネさんなら、いろいろ知っているから、私の方法が
 正しいかどうか 教えて欲しいんです」

「ほう、オオカミからにげる方法ですかぁ、それは興味深い。
 ネコさんの考えた方法を教えていただけますか」

「ハイ」

と、ネコは笑顔で答えてから、

「オオカミに追いかけられたら、こうするんです」

ネコは身をひるがえして、近くにあった木に近づき、
サササッ、とあっという間にかけ上がりました。

そして、枝の上から自信満々でキツネに言いました。

「どうです!」

「ほう、それはそれは、確かに、オオカミは木登りができませんから、
 素晴しいと思います」

キツネは感心した口調で言いました。

「キツネさんからそう言われると、うれしいです!」

木から降りて来たネコは、少して照れた笑みをうかべながら、

「ところでキツネさんは、オオカミからにげる方法を
 他にご存知じゃないですか?」

「オオカミからにげる方法かぁ」

と、キツネは少し考えてから、

「10個くらいはあるかなぁ~」

「10個も! スゴイ!」

さすがはキツネさん! とネコは尊敬の眼差しをキツネに向けました。

「良かったら、何個か教えて下さい!」

と、ネコが手を合わせてお願いすると、

「しょうがないなぁ」

キツネはちょっと、はにかんでから話を始めました。

「まず、1つ目は──」

その時、キツネの後ろの草むらが、ザワザワ、と動きました。

ネコからは草の動きが良く見えましたが、

背中を向けているキツネは気付いていませんでした。

ネコはキツネの話を聞きながら、意識は草むらに集中しました。

すると、

“ザッ、”

という音とともに、数匹のオオカミが顔を出しました。

「キツネさん、オオカミだ!」

ネコは、すぐさまオオカミからにげる方法を使いました。

身をひるがえして、先ほどと同じように、一気に木を登り、
枝にしゃがみました。

下を見ると、キツネがオオカミに囲まれて、
身動きが取れない状態になっていました。

(キツネさん、今こそ、オオカミからにげる方法を使わなきゃ)

ネコは思いました。

しかし、キツネは体を丸くして、
オオカミから身を守ることしかできません。

(あ、分かった、キツネさん、オオカミからにげる方法が
 10個もあるもんだから、どれにしようか迷ってる間に、
 囲まれちゃって、手だしできないんだ!)

ネコはそう判断しました。

そして、どうにかしてキツネを助けようと、思いました。

(オオカミの気を他に向ければ、キツネさんは少し自由になれるから、
 そしたらにげる方法を使って助けてくれるはず)

ネコはそう思い、一匹のオオカミめがけて木の上から飛びかかりました。

「ニャー!!!!」

ネコは見事に、一匹のオオカミにぶつかりたおしました。

不意をつかれた他のオオカミは、きょとんとしています。

「キツネさん、今のうちに、にげて!」

ネコがさけぶと、キツネはすぐさま立ち上がり、
勢いよく走り出しました。

(キツネさん、早く、にげる方法を)

とネコは思いましたが、キツネはみるみるはなれて行き、
あっという間に姿が見えなくなってしまいました。

(あ、あれ、キツネさん?)

ネコはキツネがにげて行った方を見ていましたが、

「やい、痛いじゃないか!」

と言われて、ハッ、とオオカミの方に目を向けました。

気付けばオオカミに周りを囲まれてしまいました。

「どういうつもりか知らねぇが、ただじゃおかないからな!」

と、ネコに体当たりされたオオカミが言いました。

「いや、オオカミさん、今日も、いい天気ですねぇ……」

ネコは必死に愛想笑いをうかべてそう言いましたが、
それが通じる相手ではありません。

オオカミは怖い顔をして、ネコにおそいかりました。

ネコはおそいかるオオカミを間一髪で交わして、
サササッ、と走り、木を登りました。

木の枝から下をみると、オオカミたちが木の下で、
ぴょんぴょんはねたり、木に前足をかけたりしていました。

「ひきょうだぞ! 降りてこい!」

とさけぶオオカミに、

「ひきょうもなにも、私1匹にそんな大勢で、どっちがひきょうだよ」

とネコは言い返しました。

「うるさい、つべこべ言わずに、降りてこい!」

オオカミは叫んでいます。

ネコは枝の上で座り、オオカミたちを見ました。

(オオカミは木には登って来られないはずだから)

と、思いましたが、とても落ち着きません。

(キツネさんもいい方法だ、って、言ったくれたんだし大丈夫)

ネコはふるえながらもそう考えて、
枝の上で身を丸くしてオオカミの様子をうかがいました。

やがてオオカミたちは、知恵を使いはじめました。

一匹が木に前足をかけ、その上に一匹のオオカミが乗り、
木にしがみつきました。

そして、次の一匹がまたその上に乗り、
木を登っていこうとしているのです。

何度か失敗しましたが、段々とコツをつかみながら、
近づいて来ています。

ネコは枝の場所を変えようかと思いましたが、
体がすくんで動けません。

オオカミたちは段々、木に登ることになれてきて、
とうとう、ネコのいる枝まで登ってきました。

登って来たのは、ネコに体当たりされたオオカミです。

「苦労かけやがって、覚悟しろ!」

と、オオカミはネコに、ジリ、ジリ、っと近づいてきました。

ネコは、ブルブルとふるえながら、後ずさりしました。

しかし、すぐに枝のはしまできて、これ以上進めなくなりました。

(このままでは、おそわれる、どうしよう)

と思ったネコは、とっさに、体を動かしました。

ヒョイ、っと飛び上ると、近づいて来たオオカミにを飛びこえ、
木にしがみついているオオカミたちの上を走り、木の下に降りて、
一目散ににげだしたのです。

「待て!」

オオカミたちもすぐに木から降りて、ネコを追いかけました。

走りだしたら、オオカミの方がずっと速いので、
あっという間に、ネコは追いつかれてしまいました。

「たく、往生際が悪いぜ」

オオカミが言いました。

ネコは、周りをオオカミに囲まれてしまい、
おびえながらも、身を小さくして構えました。

オオカミたちが、ゆっくりとネコに近づいてきます。

(もうだめだー)

とネコは思いました。

「フフフフフッ、」

不敵な笑みをうかべながら、オオカミがジリジリと近づいてきて、
飛びかかろうとしました。

ネコは頭をかがめ、目を、ギュッ、と閉じました。

と、その時です。

「コラー!!!!!」

という声が聞こえました。

目を向けると、全力で走ってくるキツネの姿が見えました。

「キツネさん!」

ネコは声を上げました。

走り寄ってくるキツネの後ろには、
なん匹ものキツネが連なって走って来ます。

“ドドドドドドドドドッ!!!!!”

そのキツネの多さを見て、さすがのオオカミたちも、

「やべぇ」

と、身をひるがえしてにげ出しました。

キツネの大群は、オオカミを追いかけました。

先頭を走っていたキツネは、ネコの姿を見ると近づいてきました。

「助けが遅くなってごめんよ」

「キツネさーん!」

ネコは泣きだしました。

「仲間を呼ぶのにちょっと手間取ってしまって」

やがて、オオカミを追うのをやめた大勢のキツネたちが、
ネコの周りに集まってきました。

大勢のキツネたちを指差しながら、

「これが、ボクのオオカミからにげる1つの方法かな」

と、キツネは少し気まずそうに言いました。

ネコは、涙を流しながら言いました。

「さすがですキツネさん。
 私の方法は、結局、うまくいきませんでした」

と、また泣きだしました。

キツネは泣いているネコに、

「ボクのほうこそ、君にお礼をしなければならない。
 ありがとう、君はボクの命の恩人だよ」

と言い、他のキツネたちも“ウンウン”と、うなずきました。

それを見て、ネコはまた泣きだしてしました。

そして、キツネたちは泣きじゃくるネコを、
しばらくの間、優しく見守りましたとさ。


おしまい。



今回のもとのお話はコチラ

福娘童話集『 キツネとネコ 』
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/01/23.htm



━━━ お話はここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆ちょこっとHappy♪☆


「器用貧乏」という言葉があります。

あの人、背が高くてイケメンで、頭も良くて、その上、
スポーツ万能で、料理もできて、歌も上手で、ものしりで、
でも、なんか出世できないのよね~

という人のことを表す言葉です。

つまるところ、いろいろ器用にできるのに成功できない人のことです。
今回の物語のキツネは、このタイプかもしれません。

逆に、自分はこれしかできることが無いから、
という人は、成功しやすいんです。

有名スポーツ選手や、芸能人、企業の経営者、学者先生など、
成功者の殆どは、1つのことをやり続けた人たちです。

今回の物語のネコは、オオカミから逃げる方法を
1つだけもっていました。
オオカミにおそわれた瞬間、逃げる方法は1つだけなので、
迷わず実行して、すぐに安全な場所に逃げることができました。

このように、あれもこれもと、いろんなことができたり、
いろんなことを知っているよりも、1つでも、できることがある、
ということが、悩まずに行動できるという点で、優れているんです。

でも、いろんなことができたり、いろんなことを知っていることは
悪いことではありません。

それらのことを、1つに集中して使ってみると、
化学反応を起こして、前代未聞のことを起こせるかもしれません。

大切なことは、限りなく1つにすることです。

浅く広く、ではなく、狭く深~く、です。


今日のHappy♪ポイント

『 1つのことに集中するということは、

  他のできることをしないということ 』

  スティーブジョブズがこんなこと言っていたような気がします。


ご意見ご感想、お待ちしています(^0^)/


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